VirtualBox 5.1.0がリリースされました
2016/7/12に「VirtualBox 5.1.0」がリリースされました。メジャーアップデート
今回のリリースはバージョン番号からも分かる通り、メジャーアップデートとなります。メジャーアップデートでは不具合の修正だけでなく、新機能の追加も積極的に行われます。
VirtualBox 5.0からアップグレード可能
すでに「VirtualBox 5.0.24」を利用している人は、既存の仮想マシンを引き継いで「VirtualBox 5.1.0」へアップグレードすることができます。VirtualBox 5.1.0のリリース情報
「VirtualBox 5.1.0」のリリース情報です。リリースノート:Oracle VM VirtualBox 5.1.0 is now available!
変更点:Changelog for VirtualBox 5.1
ダウンロード:Download VirtualBox
新機能
「VirtualBox 5.1.0」で実装された新機能です。パフォーマンスの改善(VMM)
「APIC」と「I/O APIC」の新規実装を行った結果、特定の状況でパフォーマンスが向上しました。例えばネットワークのパフォーマンスが向上し、以下の問題が解決しました。
またマルチCPUの仮想マシンのパフォーマンスも向上しています。
Hyper-Vのデバッグをサポート(VMM)
Windowsゲストにおいて、Hyper-Vのデバッグをサポートしました。MMIOとシャドウページテーブルのエミュレーション改善(VMM)
MMIOとシャドウページテーブル(exit)のエミュレーション範囲を広げ、ユーザーモードに戻ることなくエミュレーションを行います。Qt5へ移行(GUI)
ユーザーインターフェースがQt5へ移行しました。GUIのパフォーマンスが向上し、反応速度が向上しました。
HDAのサポート(Audio)
新しいLinuxゲストOS向けに、HDA(Intel High Definition Audio)のサポートを追加しました。オンデマンドタイマーの追加(Andio)
オーディオにオンデマンドタイマーを追加し、全体的なパフォーマンスの向上やCPUの負荷軽減が行われています。AC97の改善(Audio)
AC97のエミュレーションを改善し、より最適なボリューム調整を行うようになりました。Python3のサポート
Python3のサポートが改善されました。機能の改善や不具合の修正
「VirtualBox 5.1.0」で行われた機能の改善や不具合の修正です。x2APICをデフォルトに(VMM)
LinuxゲストOS向けに、x2APICをデフォルトで有効にしました。UIのデタッチ(GUI)
仮想マシンのメニューから、UIの出たちができるようになりました。セッション情報ウィンドウ(GUI)
セッション情報ウィンドが正常に表示されるようになりました。仮想マシンの配置場所を指定可能に(GUI)
仮想マシン作成ウィザードにて、仮想マシンの配置場所を指定できるようになりました。タッチイベントの修正(GUI)
HiDPIによるスケールが行われていない状況で、タッチイベントの位置に関する問題が修正されました。固定サイズのディスクイメージ作成時のパフォーマンス向上(Storage)
固定サイズのディスクイメージ作成時に、可能であればfallocate()など連続した領域を確保するようにし、パフォーマンスを向上させました。NVMHCI互換ストレージコントローラーの実装(Storage)
NVMHCI互換ストレージコントローラーが実装されました。割り込みスロットの実装(E1000)
割り込みスロットを実装し、パフォーマンスが改善しました。USBメモリーからブート可能に(EFI)
USBメモリーからOSを起動できるようになりました。E1000 T Serverネットワークカード(API)
Windows XPとWindows 2003 ServerゲストOSでは、E1000 T Serverネットワークカードがデフォルトになりました。バグ報告ツール(Installers)
バグ報告ツール(VBoxBugReport)が搭載されました。COMプロキシーの不具合修正(Windows hosts)
WindowsホストでCOMプロキシーに関する問題が修正されました。DKMSに依存しなくなった(Linux installers)
カーネルモジュールのビルドは、DKMSに依存しなくなりました。initramfsのアップデートに関する問題の修正(Linux Additions)
LinuxゲストOSでゲスト用カーネルモジュールをコンパイル後、initramfsのアップデートに関する問題が修正されました。OpenGLに関する問題の対応(Linux Additions)
OpenGLライブラリーの読み込みに関する問題に対応しました。VirtualBox 5.1.0をインストールするには
「Ubuntu 16.04」に「VirtualBox 5.1.0」をインストールする方法です。注意
すでに「VirtualBox 5.0.24」など以前の「VirtualBox」をインストールしている場合は、以下の「VirtualBox 5.1.0にアップグレードするには」を参考にしてください。1.リポジトリーの追加
「端末」を起動し、以下のコマンドを実行してリポジトリーを追加します。
sudo add-apt-repository "deb http://download.virtualbox.org/virtualbox/debian xenial contrib"
注意
コマンド内の「xenial」の箇所は、現在利用している「Ubuntu」のバージョンに対応した「開発コード(略名)」を指定します。「Ubuntu 16.04」の「開発コード(略名)」は「xenial」になります。
もし「Ubuntu 16.04」以外のバージョンを利用している場合は、「xenial」をそのバージョンの「開発コード(略名)」で置き換えてください。
また「開発コード(略名)」の入力は、必ず全て小文字で入力してください。
2.リポジトリーの鍵の追加
以下のコマンドを実行し、リポジトリーの鍵を追加します。
wget -q https://www.virtualbox.org/download/oracle_vbox_2016.asc -O- | sudo apt-key add -
3.パッケージインデックスファイルの更新
以下のコマンドを実行し、パッケージインデックスファイルを更新します。
sudo apt update
4.VirtualBoxのインストール
以下のコマンドを実行し、「VirtualBox 5.1.0」をインストールします。
sudo apt install virtualbox-5.1
「続行しますか?」と表示されたら、「エンター」キーを押してください。
「VirtualBox 5.1.0」がインストールされます。
VirtualBox 5.1.0にアップグレードするには
以前のバージョンの「VirtualBox」から「VirtualBox 5.1.0」へアップグレードする方法です。注意
事前に「VirtualBox」を終了しておいてください。「VirtualBox」が起動している状態でアップグレードを行おうとすると、アップグレードに失敗します。
また「VirtualBox 5.1.0」インストール時に以前のバージョンの「VirtualBox」はアンインストールされますが、既存の仮想マシンはそのまま引き継がれます。
1.パッケージインデックスファイルの更新
以下のコマンドを実行し、パッケージインデックスファイルを更新します。
sudo apt update
2.VirtualBoxのインストール
以下のコマンドを実行し、「VirtualBox 5.1.0」をインストールします。
sudo apt install virtualbox-5.1
「続行しますか?」と表示されたら、「エンター」キーを押してください。
VirtualBoxを起動するには
「VirtualBox」を起動するには、Dashホームを開いて以下のように「VirtualBox」を検索します。「Oracle VM VirtualBox」をクリックすれば、「VirtualBox」が起動します。
VirtualBox拡張パックのインストール
VirtualBox拡張パックをインストールすると、USB 3.0ホストコントローラーの利用など、VirtualBoxで利用できる機能が増えます。注意
以前のバージョンのVirtualBox拡張パックをすでにインストールした環境では、下記の「VirtualBox拡張パックのアップグレード」を参考にしてください。1.VirtualBox拡張パックのダウンロード
ブラウザーで「Download VirtualBox」を開き、「VirtualBox 5.1 Oracle VM VirtualBox Extension Pack All supported platforms 」からVirtualBox拡張パックをダウンロードします。2.VirtualBox拡張パックのインストール
ダウンロードしたVirtualBox拡張パックをダブルクリックします。3.インストール開始
以下の確認画面が表示されたら、「インストール」ボタンをクリックしてインストールを開始します。パスワードの入力が表示されたら、現在ログインしているユーザーのパスワードを入力してください。
VirtualBox拡張パックのアップグレード
「VirtualBox 5.1.0」へアップグレードした環境では、「VirtualBox」を起動するとVirtualBox拡張パックのインストールが促されます。VirtualBox拡張パックをインストールすると、USB 3.0ホストコントローラーの利用など、VirtualBoxで利用できる機能が増えます。
画面の案内に従い、VirtualBox拡張パックをインストールしておきます。
パスワードの入力が表示されたら、現在ログインしているユーザーのパスワードを入力してください。
VirtualBox拡張パックのインストールが促されない時は
VirtualBox拡張パックのインストールが促されない時は、「ファイル」メニューを開き「アップデートを確認」をクリックしてください。VirtualBox拡張パックをインストールしていない場合は
VirtualBox拡張パックをインストールしていない場合は、上記のアップグレード画面は表示されません。VirtualBox拡張パックをインストールする場合は、上記の「VirtualBox拡張パックのインストール」を参考にして、VirtualBox拡張パックをインストールしてください。
仮想マシンにUbuntu 16.04をインストール
ホスト「Ubuntu 16.04 64bit」 + 仮想マシン「Ubuntu 16.04 64bit」の環境に、「Guest Additions」をインストールして利用してみましたが、現状特に問題は起きていません。Unityも3Dアクセラレーションが有効な状態で動作しています。
仮想マシンの動作が軽くなった
「VirtualBox 5.0.24」で起動した「Ubuntu」の仮想マシンと、「VirtualBox 5.1.0」で起動した「Ubuntu」の仮想マシンの動作を比較すると、「VirtualBox 5.1.0」ではCPUの負荷が小さくなり、より軽快に動作するようになりました。仮想マシン自体は「VirtualBox 5.1.0」で作成し直したものではなく、以前のバージョンの「VirtualBox」で作成したものです。
また仮想マシンの設定は変更していません。
そのため「VirtualBox 5.1.0」で行われた改良が、仮想マシンの負荷軽減につながっているのでしょう。
「VirtualBox 5.1.0」の細かい機能まで確認できていませんが、「VirtualBox 5.1.0」は多くのユーザーにとっておすすめとなるバージョンでしょう。