2016年のMirと2017年のMir
「Mir」は「Canonical」主導で開発が行われ、将来「Ubuntu」で採用されるディスプレイサーバーです。「Ubuntu Desktop」では、「Unity8」とセットで利用することになります。
「Mir」は描画パフォーマンスや品質及びその安定性など、描画に関する構成要素の一つであり、描画に大きな影響を与えます。
「Mir」は現在開発中であり、遅くとも時期LTS版である「Ubuntu 18.04」までには、ユーザーにとって安定した「Mir」の登場が待ち望まれます。
「Ubuntu 18.04」のリリースは2018年4月であり、残り1年ちょっととなります。
2016年に「Mir」に起きた出来事が以下で紹介されています。
また今後の「Mir」のリリースに関し、「Mir」の展望も紹介されています。
Mirの試用や利用
2016年に「Mir」ベースのUnity8がプレビュー版としてリリースされています。また「Mir」ベースのmiral-kioskがSnapベースのUbuntu Coreで利用可能になっています。Mirでの開発
Mirと連携したソフトウェアを開発したい開発者に向けに、以下の3種類の方法が提供されます。- Mirクライアント用のツールキット、ライブラリーやアプリケーションを利用する
- Mirベースのシステムコンポジターやシェルを作成する
- 新しいプラットフォーム上でMirを利用する
「1.」と「2.」に関しては、「Ubuntu 17.04」で利用可能になる予定です。
「3.」については現在作業中です。
また以下のツールキットにてMirのサポートが行われています。
- GTK3
- Qt
- SDL2
- kodi
またSDL 1.2向けのパッチも提供される予定です。
非推奨APIの削除へ
今年中にMirのAPIの中で非推奨になっているAPIを削除し、改善されたAPIのみの提供になります。そのため最終的にABIの互換性が失われます。
他のディストリビューションのサポート
「Ubuntu」以外のMesaを利用しているディストリビューションで「Mir」を利用できるようにするため、パッチ(distro patch)が提供される予定です。この作業も今年中に形になるでしょう。
新しいグラフィックAPIのサポート
「Mir」で「Vulkan」のような新しいグラフィックAPIをサポートするため、「Mir」プラグインモジュールを開発する必要があります。「Vulkan」のサポートは現在作業中であり、今後「Mir」で「Vulkan」がサポートされる予定です。
これも今年中に形になるでしょう。
遅延低減
さらに「Mir」における描画の遅延を低減するための作業も行われています。2017年にMir 1.0リリース予定
現在「Mir」の完成に向けて上記で紹介したような作業が行われています。安定版の「Mir 1.0」は2017年中のリリースが見込めるのではないか、とのことです。