Ubuntu GNOME 17.04の新機能と変更点
リリースノートから「Ubuntu GNOME 17.04」の新機能と変更点を紹介します。リリースノートは、以下を参照してください。
またディスクイメージのダウンロードなどリリース情報は、以下を参照してください。
1.サポート期間は9ヶ月
「Ubuntu GNOME 17.04」は通常リリースとなるため、サポート期間は9ヶ月になります。従って2018年1月までサポートが提供されます。
長期サポートが必要な場合は
「Ubuntu GNOME 16.04」はLTSリリースであるため、3年間の長期サポートが提供されます。長いサポート期間や安定性を重視する人は、「Ubuntu GNOME 16.04」を利用すると良いでしょう。
2.アップグレードする前に
「gnome3-team/gnome3(-staging)」PPAを利用している場合、「Ubuntu GNOME 16.10」から「Ubuntu GNOME 17.04」へアップグレードする前に、このPPAをパージしてからアップグレードを実行してください。PPAのパージは、以下のコマンドを1行ずつ実行してください。
sudo ppa-purge ppa:gnome3-team/gnome3-staging
sudo ppa-purge ppa:gnome3-team/gnome3
sudo apt-get install ubuntu-gnome-desktop^
sudo ppa-purge ppa:gnome3-team/gnome3
sudo apt-get install ubuntu-gnome-desktop^
3.GNOME 3.24の採用
デスクトップ環境に「GNOME 3.24」を採用しています。「Ubuntu GNOME 16.10」では「GNOME 3.20」を採用していたため、2回メジャーバージョンアップしています。
それぞれのバージョンでの変更点は、以下を参照してください。
ただし以下のGNOMEアプリケーションは、異なるバージョンが採用されています。
アプリケーション | バージョン | 備考 |
---|---|---|
Nautilus | 3.20 | ファイルマネージャー |
端末 | 3.20 | ターミナルエミュレーター |
Evolution | 3.22 | グループウェアスィート |
GNOMEソフトウェア | 3.22 | アプリケーション管理 |
これはソフトウェアの安定性を優先したり、新しいバージョンに致命的な不具合が見つかったためです。
4.GNOMEソフトウェアがGNOMEシェル拡張とFlatpakをサポート
アプリケーション管理を行う「GNOMEソフトウェア」が、「GNOMEシェル拡張」と「Flatpak」に対応しました。FlatpakとSnap
「Flatpak」は「Snap」に類似した仕組みです。「Ubuntu GNOME 17.04」では「Flatpak 0.8」がデフォルトでインストールされます。
また「Snap」もデフォルトでインストールされており、どちらのパッケージも利用することができます。
5.GNOMEシェル拡張機能を簡単にインストールできるようになった
「chrome-gnome-shell」がデフォルトでインストールされ、GNOMEシェル拡張をブラウザーから簡単にインストール(管理)できるようになりました。「chrome-gnome-shell」はブラウザーに必要なアドオンのインストールを支援します。
6.trackerのサンドボックス化
ファイルのメタデータをデータベース化し、ファイル検索時にメタデータを利用した検索を行えるようにする「tracker」がサンドボックス化され、セキュリティーが向上しました。7.デフォルトのインストールから外されたアプリケーション
以下のアプリケーションは、デフォルトでインストールされなくなりました。- brasero(CD/DVDの作成)
- evolution(グループウェア)
- seahorse(GPGやSSH鍵の作成や管理)
- xdiagnose(システムの診断ツール)
必要ならユーザーは後から上記のアプリケーションをインストールできます。
以前のバージョンから「Ubuntu GNOME 17.04」へアップグレードした場合は、この影響を受けません。
8.gnome-icon-themeがインストールされなくなった
アイコンテーマである「gnome-icon-theme」がデフォルトでインストールされなくなりました。モダンなアプリケーションが使用するデフォルトのアイコンは、2年前から「Adwaita」アイコンテーマから提供されており、「gnome-icon-theme」がデフォルトのインストールから外されました。
古いアプリケーションの中には「gnome-icon-theme」が提供するアイコンに依存しているものもあり、もし古いアプリケーションでアイコンが正常に表示されない場合は、「gnome-icon-theme」パッケージをインストールしてください。
9.gconfがデフォルトのインストールから外された
「gconf」がデフォルトでインストールされなくなりました。「gconf」はアプリケーションが自身の設定を保存するための仕組みです。
現在は「gconf」を置き換える「GSettings」が主流であり、デフォルトでインストールされるアプリケーションは「GSettings」を利用します。(バックエンドは「dconf」)
アプリの設定がリセットされる
今まで「gconf」を利用していたアプリの内、「GSettings」に移行したアプリの設定は、デフォルト値にリセットされます。例えばデフォルトでインストールされる「Aisleriot(カードゲーム)」の成績等の情報はリセットされます。
10.GNOMEレシピが利用可能に
新しい「GNOMEレシピ」が利用可能になりました。デフォルトではインストールされていませんが、「GNOMEソフトウェア」からインストール可能です。
11.GNOME Gamesが利用可能に
インストールされているゲームを起動する「GNOME Games」が利用できます。デフォルトではインストールされていませんが、「GNOMEソフトウェア」からインストール可能です。
12.カレンダーが週単位の予定を表示可能に
カレンダーが週単位で予定を表示できるようになりました。13.waylandが利用可能に
デフォルトで「wayland」セッションが利用できるようになっています。PCが「wayland」に対応したGPUを搭載しており、かつ「wayland」に対応したドライバーが利用できる場合、「wayland」セッションを利用できます。
「wayland」セッションは、ログイン画面から切り替えられます。
試験的な導入
ただし「wayland」セッションは試験的な導入であり、安定した環境を提供するものではありません。既知の問題
既知の問題です。1.JavaScript エンジンの変更
JavaScriptエンジンに「SpiderMonkey 38」を使用しています。このエンジンは構文解析が厳密になっており、GNOMEシェル拡張によっては修正が求められます。
2.GNOMEソフトウェアからパッケージをインストールできない
「GNOMEソフトウェア」からdebパッケージファイルやflatpakrefファイルをインストールすることができません。3.地域と言語から言語をインストールできない
地域と言語から言語をインストール(追加)できません。代わりに「言語サポート(language-selector-gnome)」をインストールし、「言語サポート」から言語のインストールを行ってください。
4.初期設定画面から設定したキーボードレイアウトはログインし直すまで反映されない
初期設定画面(gnome-initial-setup)から設定したキーボードレイアウトはログインし直すまで反映されません。代わりにインジケーターからキーボードレイアウトを変更すると良いでしょう。
また初期設定から言語設定を変更することはできません。