Ubuntuのインストーラーに最小セットアップモードの追加提案
「System76」のエンジニアが、Ubuntuのインストーラー(Ubiquity)に最小セットアップモードの追加提案を行いました。以前「System76」の公式ブログにて、上記の内容を受けた新規インストーラーの検討内容を紹介しました。
「System76」では、Ubuntuのインストーラーで行うユーザーのセットアップ機能と、「GNOME初期セットアップ」で行うユーザーのセットアップ機能が重複しており、ユーザーのセットアップ機能を「GNOME初期セットアップ」で一元化したいとのことです。
Ubuntuのインストーラーに最小モードの機能をもたせ、カーネルパラメーター(ブートオプション)に最小モードを指定するパラメーターを追加することで、従来のインストーラーと最小モードのインストーラーを切り替えます。
カーネルパラメーターでインストーラーの動作を切り替える仕組みは、すでにOEMインストールで採用されている仕組みです。
これにより、従来のインストーラーを利用するフレーバーに影響を与えずに、インストーラーの機能を切り替えることが可能です。
「Pop!_OS」と「elementary OS」の開発チームは、この最小モードに関心を持っており、「GNOME Shell」を採用する「Ubuntu 17.10」にとっても魅力的な機能になるのではないかとのことです。
最小モードで何をするのか
最小モードでは、OSのインストールに必要最低限のインストール処理のみを行います。インストール画面の変更は、以下の内容が大枠で検討されています。
1.ようこそ画面
「ようこそ画面」にキーボードレイアウトの選択機能を設けます。セキュリティーキーの問題を解決できる
ディスク暗号化のセキュリティーキーを入力する画面は、キーボードレイアウトの設定を行う前に表示されます。そのためユーザーが利用しているキーボードのキー入力で、セキュリティーキーを入力することができません。
ようこそ画面でキーボードレイアウトを選択できるようにすれば、この問題を解決できます。
2.インストールの種類
「インストールの種類」画面にホスト名の設定機能を設けます。ホスト名には、DMI情報にMACアドレスのチェックサム4文字(16進数)を追加したホスト名がデフォルトで入力されている状態になります。(例:Galag-Pro-A8F3)
こうすることで最小インストール利用時、任意のホスト名を設定することも、事業者が自動的に複数のマシンに手間をかけずにOSをインストールできるようになります。
これ以降の画面は、ユーザーの設定を行う画面を省略し、OSのインストールを簡略化します。
オフラインモードでの最小インストール
オフラインモードでの最小インストールでは、インストールオプションを廃し、言語パックのダウンロードを別途行わなくても、ユーザーの言語環境が利用できるようになれば、とのことです。これを実現するには、言語パックを予めディスクイメージに追加する必要があります。
既存のインストーラーの見直し
既存のインストーラーの見直しも提案されています。- 「ようこそ画面」の後にキーボードのレイアウト設定画面を移動する
- 「インストールの種類」画面にホスト名の設定機能を設ける
- タイムゾーンの設定はGNOME初期セットアップで行うため削除する
キーボードのレイアウト設定画面をセキュリティーキーの設定画面よりも前に持ってくることで、上記で紹介したセキュリティーキーの問題を解決できます。
この場合、「インストールの種類」画面にホスト名の設定を行うため、ユーザーアカウントの設定画面からホスト名の設定機能を削除することになります。
ただキーボードのレイアウト設定画面は、キーボード入力が必要になる直前に表示したほうが良いとの案も出されています。
キーボード入力がまだ必要ない早い段階でキーボードのレイアウトの設定を行うと、それより後の画面でキーボードから入力を行った際、ユーザーが間違ったキーボードレイアウトに気づいた場合、キーボードのレイアウト設定画面まで数ステップかけて戻らなければならない点が指摘されています。
また「インストールの種類」画面にホスト名の設定を追加する案は、好ましくないとの指摘もあります。
「インストールの種類」画面では、ユーザーは重要かつ複雑な選択や設定を行う場面であり、インストール方法に直接関係しないホスト名の設定項目を加えることは、重要な設定からユーザーの気を逸らすことにつながるのではないか、とのことです
またそもそもホスト名をインストーラーで設定する必要がないとの提案が過去に行われており、ホスト名を行わないという方法もあるでしょう。