Mir 0.28がリリースされました
2017年10月12日に「Mir 0.28」がリリースされました。「Mir」はディスプレイサーバーであり、競合するソフトウェアは「Wayland」です。
さて「Ubuntu 17.10」向けに「Mir 0.28」がアップロードされ、「Ubuntu 17.10」で「Mir 0.28」が利用できるようになりました。
Mir 1.0はどうなった?
以前紹介したように「Mir」は、「Ubuntu 17.10」で「Mir 1.0」のリリースを目指して作業が行われてきました。しかし「Ubuntu 17.10」はFinal Freezeに入り、来週リリースされます。
残念ながら「Mir 1.0」のリリースは間に合いませんでしたが、元々「Mir 1.0」でリリースする予定だったものが「Mir 0.28」となりました。
つまり当初リリース予定だった「Mir 1.0」と今回リリースされた「Mir 0.28」のソースコードは、同じソースコードとなります。
Mir 0.28で何が変わったのか?
「Mir 0.28」の変更点を紹介します。1.安定したサーバーABIの提供
安定したサーバーABIの提供により、「Mir Snaps」の利用が今までよりも簡単になります。サーバーを壊すことなしに、新しいバージョンのライブラリーをリリースできるようになります。
MirAL
ソフトウェアが「Mir」を採用する上で障害になる問題の一つは、新しいバージョンの「Mir」のリリースにより、「Mir」の安定版ABIに依存しているソフトウェアとの互換性が失われ、それらのソフトウェアを破壊してしまう可能性があることです。この問題は「MirAL(libmiral)」の提供により回避できるようになります。
そして今や「MirAL」は「Mir」の一部となっています。
YunitではMirALへの移行作業を行っている
「Yunit」は、「Yunit」デスクトップ環境を開発するコミュニティー及びプロジェクトです。「Yunit」は「Unity 8」をフォークしたデスクトップ環境であり、「Unity 8」の開発を継続するプロジェクトです。
「Yunit」はグラフィックスタックの一部分に「Mir」を利用していますが、互換性を確保するため「MirAL」への移植作業を行っています。
2.Waylandのサポート
デスクトップコミュニティーは、「X11」を置き換えるクライアント・サーバープロトコルに「Wayland」を採用しました。すでに「Wayland」を実装したサーバーが存在しており、よく知られるサーバーにWeston、Kwin、Mutterがあります。
「Mir」が「Wayland」をサポートすることで、すでに「Wayland」をバックエンドとして使用している様々なツールキットやライブラリーと「Mir」サーバーは互換性を持つことができます。
「Mir 0.28」の主目標は、単一のフルスクリーンサーフェースで「Waylandクライアント」をサポートすることでした。
「Mir 0.28」でこの目標を僅かですが超えることができました。
その様子は、以下の動画で確認することができます。
サポートの拡大
「Wayland」のサポート作業は今後も継続して行われ、将来のリリースでさらにより良い「Wayland」のサポートが提供される予定です。3.MirALシェルがMirの一部に
「miral-kiosk」シェルは、「Ubuntu Core」上でグラフィックをサポートするために「mir-kiosk-snap」で利用されるシェルです。今回のリリースでは、フィードバックに基づく改良が多く「miral-kiosk」に含まれています。
また「miral-shell」は、「Mirサーバー」の実装サンプルになりました。
と同時に古いサンプルは削除されました。
4.グラフィックプラットフォームAPIとABI
現在グラフィックプラットフォームAPIは、不安定版です。元々グラフィックプラットフォームAPI及びABIは、それらを公開する前に安定版を提供するための作業を行う計画がありました。
しかし「Canonical」は「Ubuntu Touch」から手を引いたため、もはや「Canonical」は「Andorid」プラットフォーム向けのメンテナンスやテストを行う基盤を持っていません。
「Ubuntu Touch」の開発を継続する「UBports」コミュニティーから、「Andorid」プラットフォームのサポート継続と、「Wayland」プラットフォームをサポートについて関心が寄せられました。