Adwaitaテーマのアップデート
「GNOME」では、デフォルトのGTK+テーマに「Adwaita」テーマを採用しています。「Adwaita」テーマのカラーリング調整や、一部ウィジェットのデザイン変更が提案されました。
さてデフォルトのテーマが「Raleigh」から「Adwaita」に切り替わってから、4年以上が経過しています。
この間「Adwaita」テーマに大きな変更が行われることなく、開発チームはそろそろテーマのアップデートを行いたいと考えました。
モダンなデザインへの追従
多くのGTKアプリケーションは安定版のGTK 3.xシリーズを採用しており、アプリの中には自身のカスタムウィジェットのデザインを構築するため、「Adwaita」と互換性のあるテーマを含むアプリもあります。そのためテーマの変更・修正というのは、これらアプリとの非互換を生み出す可能性があり、アプリのデザインを壊さないように注意を払う必要があります。
非互換とはデザインの崩れのことです。
GTK 3は今日利用されている主要なバージョンであり、互換性を壊すことなく、GTKアプリを古く時代遅れに感じさせないデザインにアップデートしたいと開発チームは考えました。
アプリのデザインを壊さずにテーマを修正するために
この課題に対し多くの取り組み方が検討され議論されてきました。そして将来的にリリースされるGTK 3で採用可能な点を配慮しながら、テーマの部分的な変更を試みる方法が提案されました。
開発チームは、テーマの変更は部分的な箇所に限られるため、アプリへの影響は避けられると考えています。
しかしそれはあくまで開発チームの期待であり、開発チームは問題ないことを確認するためテスト期間を設けています。
もしテストで問題がないことが確認されたら、「GTK 3.24.4」で今回の変更が適用されます。
Adwaitaに対する修正である
今回のテーマの修正は「Adwaita」自身に対する修正であり、GTKのCSSセレクターやクラスは「GTK 3.22」以来変更されていません。また今回の変更により他のGTKテーマに影響を与えることはありません。
テーマをテストするには
GTKアプリの開発者は、「GTK 3.24.3」と修正された新しい「Adwaita」を組み合わせ、テーマのテストを行えます。
テーマは以下からダウンロードできます。
テーマのテスト方法は、以下を参照してください。
ではテーマにどのような変更が加わるのか、テーマの変更点を見ていきましょう。
カラーリングの調整
「Adwaita」が持つ多くの色に調整が入ります。新しい色は以前の色よりも鮮明になり、活気と活力を感じさせる色合いになります。
新しい色はアプリのアイコン等幅広く使用されるパレットの一部であり、アプリのスタイルのカスタマイズに使用することもできます。
色の変更は些細な変更であり、変更前と変更後の互換性に大きな問題は起きないでしょう。
”青”は”青”のままであり、ちょっと色合いが変化しただけです。
同様に”赤”は”赤”のままです。
ヘッダーバーとボタン
ヘッダーバーとボタンにデザインの調整が入ります。ボタンの枠は影で置き換えられた枠線を持ち、背景はフラットなデザインになりました。
またボタンの角は丸みが強調され、ボタンの形状はわずかに変更されました。
上部が従来のテーマで下部が新しいテーマです。
加えてボタンのデザイン変更に合うように、ヘッダーバーのデザインも変わりました。
ボタンのコントラストを上げるため、ヘッダーバーの背景色が暗くなりました。
ヘッダーバーは、フォーカスを得ている状態とフォーカスがない状態のコントラストが調整され、フォーカスを得ているウィンドウを識別し易くなりました。
スイッチ
スイッチウィジェットはデザインが変わります。スイッチウィジェット導入時、デスクトップにおいてこの種のウィジェットは、ユーザーにとって新しい概念でした。
そのため「オン」「オフ」のラベルをもたせ、ユーザーに使い方を促していました。
時が経ちラベルがないスイッチウィジェットがユーザーに浸透し、その役割は不要になりました。
上部が従来のテーマで下部が新しいテーマです。
新しいデザインではラベルが取り除かれ、ウィジェットの形状はコンパクトになり、丸みを帯びたデザインになりました。
他に大きな変更はない
上記で紹介した内容が、「Adwaita」テーマで行われた主な変更です。それ以外の変更はほとんどなく、わずかに色の違いが見て取れる程度です。