GPUコンピューティングとLinux GUIアプリのサポート計画
GPUコンピューティングとLinux GUIアプリのサポート計画がアナウンスされました。他にも様々なアナウンスが行われています。
いくつか紹介します。
Windows 10 May 2020 Updateで利用可能に
今月リリースされる「Windows 10 May 2020 Update」で、「WSL 2」が利用可能になります。WSL
「WSL(Windows Subsystem for Linux)」は「Linux」向けにビルドされたコマンドラインツールやアプリケーションを「Windows」上でそのまま実行できるようにする仕組みです。他の「Windows」アプリと同時に「Linux」アプリも実行できます。
「WSL」は改良を積み重ね、今や月間アクティブデバイス数が350万を超える人気に成長しています。
WSL 1
最初の「WSL(WSL 1)」が登場したのは今から4年前の2016年であり、当時は「Bash on Ubuntu on Windows」と呼ばれていました。WSL 2
そして「Linux」向けにビルドされたすべてのコマンドラインツールやアプリケーションを高速にそして確実に動作させるため、2019年に新しい仕組みを搭載した「WSL 2」が登場しました。「WSL 2」は「Windows Hypervisor Platform」の新しい機能を活用し、コンテナー内でLinuxディストリビューションやツール群を実行します。
加えて「Microsoft」がビルド及び提供する本物の「Linux kernel」上でそれらのソフトウェアが動作します。
またコンテナーは軽量なVMでホストされ、その起動時間は2秒未満で完了します。
これにより「WSL 2」は、本物の「Linux kernel」を採用することで「Linux」のシステムコールと完全な互換性が確保され、「Linux」アプリは「WSL 1」と比較して3倍から6倍も高速に動作します。
既存のディストリビューションをWSL 2に移行させるには
「WSL 1」と「WSL 2」は共存可能ですが、Linuxディストリビューションはどちらかの「WSL」で実行します。既存のディストリビューションを「WSL 2」に移行させるには、以下のコマンドを実行します。
wsl.exe --set-version <ディストリビューション名> 2
WSL 2をバックエンドに使用するDocker Desktopのリリース
「Docker Inc」は「Docker Desktop for Windows」を「WSL 2」上で動作させるとのアナウンスを行いました。「Windows 10 May 2020 Update」で「Docker Desktop for Windows」をインストールした場合、「Docker Desktop for Windows」はデフォルトで「WSL 2」上で動作するようになります。
また「Docker Desktop for Windows Home」も利用可能になります。
今回の変更によりコンテナーの起動時間が短縮され、「WSL 2」の軽量VMにより消費リソースも抑えられます。
詳細は以下を参照してください。
現在のロードマップと今後登場予定のWSLの新機能
現在のロードマップと今後登場予定の「WSL」の新機能を紹介します。WSLのインストールが簡単に
「WSL」のインストールには複数の手順が必要であり、手順に煩雑さがありました。これからは「WSL」のインストールが簡単になります。
「Windows Terminal」などのコマンドラインシェルを管理者権限で起動し、以下のコマンドを実行するだけで「WSL」をインストールできるようになります。
wsl.exe --install
数カ月以内にリリースされる「Windows Insiders Fast Ring」で、この機能の初期リリースが行われる予定です。
WSL 2がデフォルトに
「WSL」には「WSL 1」と「WSL 2」があります。初めて「WSL」をインストールした時に、「WSL 2」がデフォルトの「WSL」に設定されます。
これも数カ月以内にリリースされる「Windows Insiders Fast Ring」で導入される予定です。
GPUコンピューティングのサポート
「WSL」でGPUコンピューティングがサポートされます。初期段階では、以下のサポート(シナリオ)が予定されています。
NVIDIA CUDA
「NVIDIA CUDA」では、既存のLinuxツールとワークフローがサポートされます。DirectML
「DirectML」では、最初のターゲットとして初心者や学生を対象にし、いくつかのベンダーから提供されるDirectX 12対応GPUを活用できるようにします。また開発チームは「DirectML」をバックエンドに採用した「TensorFlow」のプレビューパッケージをリリースする予定です。
これは「Windows」のハードウェアと連携し、また特定のハードウェアに依存せず、横断的にAI/MLのワークロードのパフォーマンスを向上させます。
「TensorFlow on Windows」含め「DirectML」は、ネイティブのWindowsアプリもサポートします。
AI/MLのワークロードを実行可能に
GPUコンピューティングのサポートは、数カ月以内にリリースされる「Windows Insiders Fast Ring」で導入される予定です。これらの起動が導入された「Windows Insiders Fast Ring」と「WSL 2」をインストールし、ハードウェアベンダーから適切なGPUドライバーをインストールすれば、「WSL 2」上でLinuxのツール群を利用してAI/MLのワークロードを実行できます。
本件に関する詳細は、以下を参照してください。
LinuxのGUIアプリのサポート
「Linux」のGUIアプリがサポートされます。Windowsデスクトップとシームレスに統合された環境で「Linux」のGUIアプリが動作します。
「Eye of Gnome(画像ビューアー)」「gedit(テキストエディター)」「mpv(メディアプレーヤー)」の動作デモが紹介されました。
これらのLinuxのGUIアプリは「WSL」内で動作している「Wayland」サーバー(コンポジター)に接続し、「Wayland」サーバーは「Windows」上の「RDP」クライアントと通信しています。
以下の画像ではLinuxアプリである「Nautilus(ファイルマネージャー)」とWindowsの「Outlook」が横に並べられています。
現状実現時期は未定ですが、今後より詳しい内容が紹介されるでしょう。