Mir 2.0.0がリリースされました
2020年7月25日、「Mir 2.0.0」がリリースされました。非推奨APIの削除
「Mir」は「Wayland」をサポートする前、「Wayland」とは異なる独自の「mirclient」及び「mirserver」APIを提供していました。「Mir」が「Wayland」の実装を表明した後も、これらのAPIは非推奨のAPIとして引き続き提供されていました。
「Mir」は引き続きこれらのライブラリーを内々に使用してはいますが、これらのAPIが表に出されることはなくなり「Mir 2.0.0」で削除されました。
つまり非推奨のAPIを定義するヘッダーファイルは公開されなくなり、ABIの安定性も保証されなくなりました。
これにより「Mir」は、非推奨APIに関連する多くのコードを削除できました。
パッケージの削除
以下のパッケージは削除されました。- libmirclient-dev
- mir-client-platform*
- mir-utils
- libmirserver-dev
- mirtest-dev
グラフィックプラットフォーム
「mirclient」の削除により「mirclient」APIを通じてのみ利用されていたグラフィックプラットフォームを削除できるようになりました。これにより実装が簡素化され、画面のレンダリングに影響を与えることなくプラットフォームのサポート改善や改良が容易になるでしょう。
特にマルチGPUシステムのサポート改善や、ヘッドレスシステム及びリモートデスクトップシステムといった様々な出力要件への対応が容易になるでしょう。
NVIDIA GPUでMir-on-X11が動作可能に
グラフィックプラットフォームの削除作業では、「mesa-kms」及び「mesa-x11」プラットフォームから「mesa」の依存が削除されました。これらは「gdm」にのみ依存するようになりました。
またこれらのプラットフォームはそれぞれ「gbm-kms」及び「gbm-x11」 になりました。
これにより「NVIDIA GPU」を搭載したデスクトップで「Mir-on-X11」が動作するようになりました。
rpi-dispmanxグラフィックプラットフォームの追加
「rpi-dispmanx」グラフィックプラットフォームが追加され、「Mir」は「Raspberry Pi 3」の「Broadcom」ドライバーで動作できるようになりました。MirAL
「mirclient」への依存を削除するため、「MirAL」でもAPIの整理が行われました。これにより「mirclient」が提供していたイベントを処理する機能(関数)は、「MirAL」から提供されるようになりました。
Mirとは
「Mir」は次世代のディスプレイサーバーです。デスクトップやモバイルデバイス、そしてIoTまで、幅広い分野をサポートするディスプレイサーバーです。
デスクトップPCから見れば、既存のXサーバーを置き換えるソフトウェア(Wayland)になります。
「Mir」に関する詳細は、以下を参照してください。
- 公式サイト:Mir Display Server
- ユーザー向けドキュメント:Getting and Using Mir
- 開発者向けドキュメント:Welcome to Mir
- GitHub:MirServer/mir
- コミュニティー:Mir category
MirをUbuntuにインストールするには
「Mir」を「Ubuntu」にインストールする方法は、以下を参照してください。「PPA」経由で最新版の「Mir」をインストールできます。
「Mir」の「PPA」には3種類の「PPA」がありますが、以下の「PPA」がリリース版の「PPA」になります。