構築したが開始していないアレイを開始する
アレイ構築時、アレイを構成する物理ボリュームが不足している場合、アレイの構築方法によってはアレイの開始を行いません。ここではアレイを構築済みで開始していないアレイを開始します。
物理ボリュームが不足している状態ということは、このアレイを開始すると「デグレードモード」でアレイを開始するということになります。
ショートオプションとロングオプションについて
モードやオプションの記述方法には、「ショートオプション」と「ロングオプション」の2種類があります。どちらを利用しても良いでのですが、ここでは意味が分かりやすい「ロングオプション」を使用します。
コマンドのフォーマット
「mdadm」コマンドのフォーマットは以下になります。mdadm <モード> <論理ボリューム>
モード
モードは、「mdadm」の動作モードを指定します。アレイの開始(Misc Mode)なので、以下のオプションを指定します。
ショートオプション | ロングオプション | 記述例 |
---|---|---|
-R | --run | --run |
論理ボリューム
論理ボリュームのデバイスファイルを指定します。複数の論理ボリュームのデバイスファイルを指定する場合は、各論理ボリュームのデバイスファイルをスペースで区切ります。
/dev/md125 /dev/md126 /dev/md127
glob
論理ボリュームの指定は、globに対応しています。例えば上記の記述は、以下のように記述することもできます。
- /dev/md12[5-7]Array
- /dev/md12[567]Array
アレイを開始するコマンドの例
アレイを開始するコマンドの例です。環境について
以下のアレイを作成した環境でコマンドを実行しています。1.アレイの構築
アレイを構築します。ここでは物理ボリュームが不足している状況を作り出すため、意図的にアレイを構成する物理ボリュームの1つである「sdf2」を指定していません。
ubuntu@vb-ubuntu1310:~$ sudo mdadm --assemble /dev/md/RAID1Array /dev/sdd2 /dev/sde2
mdadm: /dev/md/RAID1Array assembled from 2 drives - need all 3 to start it (use --run to insist).
mdadm: /dev/md/RAID1Array assembled from 2 drives - need all 3 to start it (use --run to insist).
2.アレイの状況確認
構築したアレイの状況を確認します。
ubuntu@vb-ubuntu1310:~$ cat /proc/mdstat Personalities : [linear] [multipath] [raid0] [raid1] [raid6] [raid5] [raid4] [raid10]
md127 : inactive sdd2[0](S) sde2[1](S)
204672 blocks super 1.2
unused devices: <none>
md127 : inactive sdd2[0](S) sde2[1](S)
204672 blocks super 1.2
unused devices: <none>
赤字の箇所を見ると、アレイは開始していないことが分かります。
3.論理ボリュームのデバイスファイルの確認
論理ボリュームのデバイスファイルを確認します。
ubuntu@vb-ubuntu1310:~$ ls /dev/md*
/dev/md127
/dev/md127
論理ボリュームのデバイスファイル(md127)は作成されていますが、「/dev/md」フォルダー以下に作成される論理ボリュームのデバイスファイルへのシンボリックリンクは作成されていません。
この例では、「/dev/md/RAID1Array」シンボリックリンクファイルが作成されていません。
4.アレイを開始する
アレイを開始します。
ubuntu@vb-ubuntu1310:~$ sudo mdadm --run /dev/md127
mdadm: started /dev/md127
mdadm: started /dev/md127
アレイ(md127)が開始されたと表示されます。
5.アレイの状況確認
開始したアレイの状況を確認します。
ubuntu@vb-ubuntu1310:~$ cat /proc/mdstat
Personalities : [linear] [multipath] [raid0] [raid1] [raid6] [raid5] [raid4] [raid10]
md127 : active raid1 sdd2[0] sde2[1]
102272 blocks super 1.2 [3/2] [UU_]
unused devices: <none>
Personalities : [linear] [multipath] [raid0] [raid1] [raid6] [raid5] [raid4] [raid10]
md127 : active raid1 sdd2[0] sde2[1]
102272 blocks super 1.2 [3/2] [UU_]
unused devices: <none>
赤字の箇所を見ると、アレイが開始したことが分かります。
6.論理ボリュームのデバイスファイルの確認
論理ボリュームのデバイスファイルを確認します。
ubuntu@vb-ubuntu1310:~$ ls /dev/md*
/dev/md127
/dev/md:
RAID1Array
/dev/md127
/dev/md:
RAID1Array
「/dev/md/RAID1Array」シンボリックリンクファイルが作成されています。
赤字の箇所です。
7.論理ボリュームの確認
論理ボリュームの詳細情報を表示すると、以下のように「デグレードモード」で起動していることが分かります。ポイントは赤字の箇所です。
ubuntu@vb-ubuntu1310:~$ sudo mdadm --detail /dev/md/RAID1Array
/dev/md/RAID1Array:
Version : 1.2
Creation Time : Fri Mar 28 20:56:37 2014
Raid Level : raid1
Array Size : 102272 (99.89 MiB 104.73 MB)
Used Dev Size : 102272 (99.89 MiB 104.73 MB)
Raid Devices : 3
Total Devices : 2
Persistence : Superblock is persistent
Update Time : Sat Mar 29 11:18:13 2014
State : clean, degraded
Active Devices : 2
Working Devices : 2
Failed Devices : 0
Spare Devices : 0
Name : vb-ubuntu1310:RAID1Array (local to host vb-ubuntu1310)
UUID : 69a7bf39:2dc32623:3e9ac3e6:8f105c7e
Events : 17
Number Major Minor RaidDevice State
0 8 50 0 active sync /dev/sdd2
1 8 66 1 active sync /dev/sde2
2 0 0 2 removed
/dev/md/RAID1Array:
Version : 1.2
Creation Time : Fri Mar 28 20:56:37 2014
Raid Level : raid1
Array Size : 102272 (99.89 MiB 104.73 MB)
Used Dev Size : 102272 (99.89 MiB 104.73 MB)
Raid Devices : 3
Total Devices : 2
Persistence : Superblock is persistent
Update Time : Sat Mar 29 11:18:13 2014
State : clean, degraded
Active Devices : 2
Working Devices : 2
Failed Devices : 0
Spare Devices : 0
Name : vb-ubuntu1310:RAID1Array (local to host vb-ubuntu1310)
UUID : 69a7bf39:2dc32623:3e9ac3e6:8f105c7e
Events : 17
Number Major Minor RaidDevice State
0 8 50 0 active sync /dev/sdd2
1 8 66 1 active sync /dev/sde2
2 0 0 2 removed