Ubuntu 16.04をインストールする前に
「Ubuntu 16.04」をインストールする前に、「Ubuntu 16.04」のインストールに必要な準備や、「Ubuntu 16.04」が動作するかどうか確認を行う必要があります。いきなりUbuntuをインストールするのではなく、まずはUbuntuを試用してみましょう。
Ubuntuが起動するか、使い勝手は良いか、パフォーマンスは十分か、インターネットに接続できるかなど、事前に確認しておきましょう。
確認の結果特に問題がなければ、試用のために起動したUbuntuからインストールを行うこともできます。
Ubuntuの特徴
UbuntuはDebianから派生したOSであり、初心者でも誰でも簡単に利用できるOSを目指し開発が行われています。UbuntuはLinuxディストリビューションの中で非常にユーザー数が多く、最低でも3000万人以上のユーザーがUbuntuを利用しています。
またUbuntuはデスクトップ向けのOSだけでなく、サーバーやクラウド、スマートフォーンなど様々な分野に向けて最適化されたバージョンを提供し、幅広い分野でUbuntuが使われています。
あのWikipediaもUbuntuによりサービスが提供されています。
個人ユーザーからUbuntuを見た場合、利用者が多いため情報量が非常に多く、初心者の助けになる情報が得られやすい、という利点があります。
また同様に開発者も多く、Ubuntu向けに多くのソフトウェアが提供されています。
利用者の多さはサードパーティーにとってUbuntu向けにソフトウェアを提供する動機の1つとなります。
そして今やUbuntuは、Windowsに向けても提供されています。(WSL)
UbuntuはLinuxディストリビューションの中で大きな存在となっています。
日本語ユーザーにとって日本語入力や日本語の表示は必須です。
Ubuntuは日本語環境も充実しており、インストール時に日本語環境を構築してくれます。
そしてUbuntuの日本語ユーザーを支援しているUbuntu Japanese Teamコミュニティーにより、日本語ユーザー向けの情報や、ユーザー参加型のフォーラムが提供されています。
自分一人では解決できない疑問や質問、そして相談を、日本語ユーザー同士でやり取りする場が提供されています。
誰でも簡単に利用できるOSを目指して開発されているため、多くの人にとって扱いやすいOSです。
インストールも難しくありません。
初心者にとってハードルになり易いインストール作業も、お任せでインストールする機能を提供しており、画面の案内に従って操作していけばインストールが完了します。
Canonicalによる強力な支援
Canonical(カノニカル)は、Ubuntuの商用サポートやUbuntuに関連したサービスを展開する法人です。Ubuntuの開発に多大な支援を行っています。
Ubuntuを立ち上げたMark Shuttleworth氏が出資して設立した会社でもあり、UbuntuとCanonicalには強い結び付きがあります。
Ubuntuの開発コードを決めているのは、Mark Shuttleworth氏です。
またCanonicalは、Ubuntuの積極的な開発支援やUbuntuブランドの展開も行っており、Ubuntuやコミュニティーの強力な後ろ盾となっています。
Ubuntuをよりモダンなシステムにするために、そしてオープンソースの開発者やユーザにとってより便利な仕組みを提供するために、新たな仕組みを新規に開発しUbuntuに投入しています。
Canonicalの主導により開発されたシステムの一例を上げると、以下のようになります。
- Unity(デスクトップ環境)
- Mir(ディスプレイサーバー)
- Snappy(パッケージ管理システム)
- Launchpad(プロジェクト管理)
- Ubuntu Software Center(パッケージ管理)
- Ubuntu One(オンラインサービス・SSO)
- Upstart(initデーモンの代替)
- GNU Bazaar(バージョン管理システム)
- Ubiquity(Ubuntuのインストーラー)
- Quickly(ソフトウェア開発フレームワーク)
- Storm(データベースライブラリー)
- Juju(オーケストレーション管理ツール)
また、企業間の交渉にとってCanonicalは重要な存在です。
コミュニティーがベンダーにアプローチをかけるよりも、法人であるCanonicalがアプローチした方がうまく行くケースもあるでしょう。
(もちろん逆もまた然りです。)
初心者”専用”のOSではない
Ubuntuは、初心者”専用”のOSではありません。初心者”でも扱える”OSです。
初心者でも扱えるように様々な工夫がなされていますが、深い所を知りたければ下はLinux Kernelから上はアプリケーションまで、ユーザーは自由に手を延ばすことができます。
足を突っ込んだら底なし沼だった、頼んでないのにそんな経験だってできます。
デスクトップ環境にサーバーのソフトウェアをインストールし、サーバーの機能を利用することもできます。
デスクトップでもありサーバーでもある環境を構築することもできます。
GUI環境だけでなく元々充実しているCUI環境も共存して利用できます。
テキストの編集にgeditを利用しても良いですし、vimを利用しても良いです。
このように柔軟性のある使い方が実現できます。
もちろん難しいことを行うにはそれ相応の知識が必要ですが、新たな知識を手に入れる良い機会となるでしょう。
フレーバーでさらに幅が広がる
Ubuntuにはフレーバーという仕組みがあり、デスクトップ環境を入れ替えたり、特定の地域向けに最適化されたOSが提供されています。KubuntuやXubuntu、Lubuntuなど、Ubuntuには数多くのフレーバーが存在します。
いずれのフレーバーもベースはUbuntuとほぼ同じであるため、扱いやすさはさほど変わりません。
もっと軽量なOSが使いたければLubuntuを選択したり、モダンでカスタマイズの幅が広いユーザーインターフェースを満喫したければKubuntuを選択するなど、フレーバーによりユーザーの選択肢に幅ができます。
1.Ubuntuが動作するPC
Ubuntuを動作させるには、以下のハードウェアが必要です。項目 | 推奨するハードウェア |
---|---|
CPU | デュアルコアCPU 2GHz以上 |
メモリー | 2GB以上 |
GPU | OpenGLに対応したグラフィックカード |
HDD | 25GB以上の空き容量 |
DVD | ライブDVDから起動する場合に必要 |
USB 2.0 | ライブUSBから起動する場合に必要 |
ネットワーク | インターネットに接続できる環境(推奨) |
おおよそ2007年から2008年ごろに発売されたPCが基準になります。
CPU
Intel Core 2 Duo世代が基準になります。メモリー
使用するアプリケーションに合わせて、必要とするメモリーの容量が変わってきます。できれば4GBは欲しいところです。
GPU
デスクトップ環境であるUnityがOpenGLを使用するため、AMD Radeon HD 4000シリーズ程度の性能が欲しいところです。Windows VistaのAeroが動作するPCであれば、大丈夫でしょう。
性能が十分かどうかは試用して決める
性能が十分かどうかは、実際にUbuntuを試用して決めると良いです。2.32bit版と64bit版どちらを選ぶ?
Ubuntuには、Windowsと同じように32bit版と64bit版があります。CPUがサポートしているアーキテクチャーによって、利用できるUbuntuのアーキテクチャーが決まります。
CPUのアーキテクチャー | Ubuntu 32bit版 | Ubuntu 64bit版 |
---|---|---|
x86 | ◯ | × |
x86-64 | ◯ | ◯ |
将来性
将来性があるのは64bit版です。例えば「Google Chrome」は、64bit版のみリリースされています。
32bit版のUbuntuでは、「Google Chrome」が利用できません。
先のことを考えると、64bit版を選択したほうが良いです。
32bit版は性能が低いPC向け
CPUの性能があまり高くない場合やメモリーの容量が2GBの場合は、32bit版を選択すると良いでしょう。性能が低いPCでどうしても64bit版を利用したい場合は、軽量系のフレーバーであるLubuntu 64bit版の利用を検討してみてください。
3.ディスクイメージをダウンロードしよう
Ubuntuのディスクイメージをダウンロードしてください。リリースノートを読もう
ディスクイメージをダウンロードしている間に、リリースノートを読みましょう。リリースノートには、変更点やサポート期間、既知の不具合等が記述されています。
4.ライブメディアを作ろう
ディスクイメージをダウンロードしたら、ディスクイメージからライブメディアを作成します。このライブメディアからUbuntuを起動します。
ライブメディアとは
UbuntuはDVDやUSBメモリーから起動することができます。Ubuntuが起動するDVDやUSBメモリーのことをまとめてライブメディアと表現します。
ライブメディアはUbuntuのインストールや試用に利用します。
ライブメディアの種類
ライブメディアには、DVDとUSBの2種類がります。PCが起動に対応しているメディアを選択してください。
詳しくはPCの説明書を確認してください。
おすすめはUSBです。
USB 2.0以降対応のUSBメモリーでライブUSBメモリーを作成すると楽です。
ライブメディアで起動したデスクトップ環境について
ライブメディアから起動したUbuntuでは、HDDにインストールしたUbuntuのようにアプリの利用やインストールが可能です。HDDにインストールしたUbuntuとほぼ同様に利用することができます。ただし、そのUbuntuで行ったUbuntuに対する変更は保存されません。
再起動すれば元の状態に戻ります。
言語環境について
公式サイトからダウンロードしたディスクイメージを元にライブメディアを作成した場合、日本語環境が含まれていないため英語での利用になります。Ubuntu 16.04日本語 Remixがリリースされれば、Ubuntu 16.04日本語 Remixのディスクイメージを元にライブメディアを作成し、日本語環境でUbuntuを利用することができます。
ただしUbuntuのインストールやインストール後のUbuntuは、公式サイトからダウンロードしたディスクイメージを元に作成したライブメディアでも、日本語で利用できます。
UbuntuでライブDVDを作成する場合は
UbuntuでライブDVDを作成する場合は、「Brasero」を利用してライブDVDを作成します。ディスクイメージからライブDVDを作成する方法は、以下を参考にしてください。
UbuntuでライブUSBメモリーを作成する場合は
UbuntuでライブUSBメモリーを作成する場合は、以下のいずれかの方法を利用してライブUSBメモリーを作成します。WindowsでライブDVDを作成する場合は
WindowsでライブDVDを作成する場合は、以下を参考にしてライブDVDを作成します。WindowsでライブUSBメモリーを作成する場合は
WindowsでライブUSBメモリーを作成する場合は、以下のいずれかの方法を利用してライブUSBメモリーを作成します。5.Ubuntuを起動しよう
ライブメディアを作成したら、実際にUbuntuを起動してみましょう。ライブメディアから起動したUbuntuは、ほぼフルセットのUbuntuが動作します。
既存のシステムに変更を加えること無く、Ubuntuを試しに利用してみることができます。
どうやってUbuntuを起動する?
ライブメディアをPCに挿入して、PCを起動してください。Ubuntuが起動しない時は
PCやPCの設定によっては、ライブメディアを挿入しただけではUbuntuをライブメディアから起動することができません。BIOSやUEFIでは、どの順番でストレージ(HDDやDVDドライブあるいはUSBメモリーなど)に入っているOSを起動するのかを指定することができます。
ライブメディアを挿入してもUbuntuが起動しない場合は、BIOSやUEFIの設定を確認してください。
DVDドライブやUSBメモリーの優先順位をHDDより上げることで、ライブメディアからUbuntuを起動できるようになります。
これらの設定は、BIOSやUEFIの設定画面から行います。
BIOSやUEFIの設定画面を表示するには
OSの起動順を設定するには、BIOSやUEFIの設定画面を表示する必要があります。多くのPCでは、PC起動時(電源投入時/メーカーのロゴが表示されている最中)に何かしらのキーを押すことで、BIOSやUEFIの画面を表示することができます。
メーカーやPCのモデルにより押すキーが異なるため、PCの説明書を参考にしてください。
BIOSやUEFIの設定例
例えば「VALUESTAR S(VALUESTAR G タイプS)」の場合、リンク先から以下のことが分かります。「本機の起動時に、OSを起動するデバイスを手動選択する」から、PCの起動時に「F2」キーを連打すれば、UEFIの画面が表示できることが分かります。
「Boot」メニューの「1st Boot」に「CD/DVD」を設定すれば、DVDのライブメディアからUbuntuを起動できることが分かります。
同様に「Advanced」メニューの「USB Storage Device Support」を「Enabled」に設定し、「Boot」メニューの「1st Boot」に「USB HardDisk」を設定すれば、USBメモリーのライブメディアからUbuntuを起動できることが分かります。
6.Ubuntuが起動したら
BIOSでUbuntuを起動した場合とUEFIでUbuntuを起動した場合で、デスクトップ画面が表示されるまでの流れが少し異なります。BIOSでUbuntuを起動した時は
BIOSでUbuntuを起動した場合です。1.起動画面
BIOSでUbuntuを起動した時は、起動時に紫色の画面が表示されます。2.Welcome画面
次にWelcome画面が表示されます。左側の言語一覧を一番下までスクロールして「日本語」を選択し、「Ubuntuを試す」ボタンをクリックします。
UEFIでUbuntuを起動した時は
UEFIでUbuntuを起動した場合です。以下のように黒背景の起動画面が表示されるので、「Try Ubuntu without installing」を選択して「エンター」キーを押します。
デスクトップ画面
無事何事もなければ、Ubuntuのデスクトップ画面が表示されます。次のステップでは、Ubuntuの基本的な使い方を紹介します。