Ubuntuとフレーバーの比較
2016/4/21に「Ubuntu 16.04 LTS」がリリースされました。今回リリースされた16.04はLTS版ということもあり、16.04版でUbuntu及び各フレーバーを比較してみます。
budgie-remixについて
「budgie-remix」はフレーバーではありませんが、「Ubuntu 16.10」でフレーバーになる予定なので、ここで紹介します。環境について
今回比較するUbuntu及び各フレーバーは、以下の環境にインストールしています。- VirtualBox 5.0.20
- 各OSは日本語環境にセットアップ済み
- VirtualBox Guest Addtionsをインストール済み
- すべてのアプリ(パッケージ)をアップデート済み
- OSのバージョンは16.04 64bit版
- UEFIでインストール
あくまでVirtualBox上で比較した内容なので、各種数値は参考程度に留めてください。
比較内容と比較結果
Ubuntu及び各フレーバーの比較内容と比較結果です。比較項目 | Ubuntu | Kubuntu | Xubuntu | Lubuntu |
---|---|---|---|---|
デスクトップ環境 | Unity | Plasma( KDE) |
Xfce | LXDE |
メモリー使用量 | 560MiB | 347MiB | 282MiB | 182MiB |
ディスクイメージのサイズ | 1.4GiB | 1.4GiB | 1.2GiB | 0.84GiB |
HDD使用量 | 5.9GiB | 5.4GiB | 4.0GiB | 3.4GiB |
UI | Mac OS X | Windows XP Windows 7 |
Windows XP Windows 7 |
Windows 98 Windows 2000 |
日本語対応 | 問題なし | 英語のUIあり | 問題なし | 問題なし |
OpenGL | 必要 | 推奨 | ー | ー |
サポート期間(通常) | 9ヶ月 | 9ヶ月 | 9ヶ月 | 9ヶ月 |
サポート期間(LTS) | 5年 | 3年 | 3年 | 3年 |
比較項目 | Ubuntu GNOME | Ubuntu MATE | budgie-remix |
---|---|---|---|
デスクトップ環境 | GNOME | MATE | Budgie |
メモリー使用量 | 600MiB | 293MiB | 512MiB |
ディスクイメージのサイズ | 1.2GiB | 1.5GiB | 0.94GiB |
HDD使用量 | 4.4GiB | 4.8GiB | 5.5GiB |
UI | Windows 8 | Mac OS 9 Mac OS X |
Windows7 |
日本語対応 | 問題なし | 問題なし | ほぼ問題なし |
OpenGL | 必要 | ー | 必要 |
サポート期間(通常) | 9ヶ月 | 9ヶ月 | ー |
サポート期間(LTS) | 3年 | 3年 | ー |
デスクトップ環境
各OSで採用しているデスクトップ環境の名称です。メモリー使用量
メモリー使用量は、OSにログインした後のOSのメモリーの使用量です。ログイン後に1分程度待ち、「free」コマンドで表示された値を元にしています。
仮想マシンでのメモリー使用量なので、実機にOSをインストールした場合はこの値に1.1倍から1.5倍程度した値を参考にすれば良いでしょう。
ハードウェア(デバイス)が多く搭載されているPCほどメモリー使用量が増えるため、環境によって差が出ます。
まとめ
相変わらず最軽量である「Lubuntu」のメモリー使用量が、他と比較して頭ひとつ抜けています。その分機能がシンプルなので、ユーザーは後からカスタマイズしたくなるかも知れません。
次点で「Xubuntu」と「Ubuntu MATE」のメモリー使用量の少なさが見て取れます。
UbuntuとUbuntu GNOMEのメモリー使用量が増えた
14.04の時と比較し、「Ubuntu」と「Ubuntu GNOME」のメモリー使用量が増えました。これはログイン時に「Ubuntu/GNOMEソフトウェア」が起動し常駐するなど、ログイン時に起動するアプリが増えた影響が大きいです。
Kubuntuが軽量化された
「Kubuntu 16.04」ではデスクトップ環境に「Plasma 5」を採用しています。「Kubuntu 14.04」と比較して、3Dアクセラレーションがない環境でもスムーズに動作するようになりました。「Kubuntu」は軽量系のフレーバーではありませんが、今まで動作が重かった環境でも利用できるようになるでしょう。
メモリーがどの程度必要かは使い方による
アプリを複数起動して利用するわけですから、メモリーを1GiB搭載しているから問題ない、といった判断はできません。結局自分の使い方でメモリーが足りるかどうか試用した上で決めることになります。
ディスクイメージのサイズ
ディスクイメージのサイズです。HDD使用量
ルートパーティション(OSをインストールしたパーティション)の使用量です。EFIシステムパーティションやスワップパーティションは含まれません。
VirtualBox Guest Addtionsのインストールや、VirtualBox Guest Addtionsをビルドするために必要なパッケージなどを後からインストールしているため、素の状態だともう少しHDDの使用量は少なめになります。
まとめ
「Lubuntu」が最もHDDの使用量が少ないです。次点で「Xubuntu」のHDDの使用量が少ないです。
ただ「Lubuntu」は標準でインストールされるアプリの構成がシンプルなので、他のOSよりも後からアプリをインストールする機会が多くなると思います。
例えば「Lubuntu」では、「LibreOffice」がインストールされていません。
「LibreOffice」をインストールすると、440MiB以上HDDの使用量が増えます。
使い方により、結果的に大きな差にならないケースもあります。
UI
UIの構成を他のOSで表現しています。あくまで見た目や使い方が似てるというだけです。
Windowsで言うところのスタートメニュー(アプリケーションランチャー)や、メニュー構成、Windowsで言うところのタスクバーの構成等を対象にしています。
「Ubuntu GNOME」は、いわゆるスタートメニューが全画面で表示されるというだけで、Windows 8のModern UIの中身とは大きく異なります。
多くのOSはシェルの配置をカスタマイズできるので、この「UI」の項目は参考程度にしてください。
日本語対応について
いずれのOSも日本語の入力や表示は可能です。UIの日本語化に焦点を当てています。
標準でインストールされるアプリが対象になります。
「Kubuntu」は英語で表示されるUIが多く、特にシステム設定に関しては英語表記のUIが多いです。
とは言え難しい英単語は使われていないため、使用が困難になるような難しさはありません。
OpenGL
デスクトップ環境がOpenGLを要求し、かつ、OpenGLの性能が高いほうが快適に利用できる場合は「必須」もしくは「推奨」と記述しています。それ以外は「ー」と記述しています。
「Kubuntu」は細かなカスタマイズが可能なので、自分でパフォーマンスを調整することができます。
Windowsに置き換えて表現すると
Windows VistaやWindows 7で言うところのAero相当の機能を使用する場合は、「必須」もしくは「推奨」になります。Windowsでは3Dの描画に「Direct3D」を使用しますが、Ubuntuやフレーバーではこれが「OpenGL」になります。
どのフレーバーでもOpenGLが利用できます
デスクトップ環境がOpenGLを要求するというだけですので、「Xubuntu」や「Lubuntu」でOpenGLを利用できないということではありません。「Xubuntu」や「Lubuntu」でも3DモデリングツールのようなOpenGLを使用するアプリを利用することができます。
もちろんその場合は、それらのアプリを快適に使用するためにOpenGL性能の高いGPUが必要になります。
OpenGLのサポート状況についてはいずれのフレーバーもベースがUbuntuと同じであるため、Ubuntu以外のフレーバーでも同様にOpenGLのアプリが利用できます。
そういう意味ではUnityは、OpenGLを使用するアプリの一つと捉えることができます。
サポート期間(通常)
通常リリース(非LTS)のサポート期間です。表内の記述は通常リリースであるバージョン 15.10のサポート期間です。
現状通常リリースのサポート期間は、どのOSも9ヶ月です。
「budgie-remix」はフレーバーではないため、記述していません。
サポート期間(LTS)
LTS版(Long Term Support)のサポート期間です。表内の記述は、LTS版であるバージョン 16.04のサポート期間です。
OSによりサポート期間が異なるため、注意が必要です。
「budgie-remix」はフレーバーではないため、記述していません。