Ubuntu GNOME 17.04最終βの新機能と変更点
リリースノートから「Ubuntu GNOME 17.04最終β」の新機能と変更点を紹介します。リリースノートは、以下を参照してください。
注意
「Ubuntu GNOME 17.04」は最終βであり、正式リリースではありません。リリースノートには「Ubuntu GNOME 17.04」へのアップグレード方法が記述されていますが、不用意に「Ubuntu GNOME 17.04」にアップグレードしないでください。
最終βはテスト目的でリリースされています。
そのため何かトラブルが発生しても自分で対処できる人向けです。
「Ubuntu GNOME 17.04」は、2017年4月13日にリリースされる予定です。
1.サポート期間は9ヶ月
「Ubuntu GNOME 17.04」は通常リリースとなるため、サポート期間は9ヶ月になります。従って2018年1月までサポートが提供されます。
一方「Ubuntu GNOME 16.04」はLTSリリースであるため、3年間の長期サポートが提供されます。
長いサポート期間や安定性を重視する人は、「Ubuntu GNOME 16.04」を利用すると良いでしょう。
2.GNOME 3.24採用
デスクトップ環境に「GNOME 3.24」を採用しています。「Ubuntu GNOME 16.10」では「GNOME 3.20」を採用していたため、2回メジャーバージョンアップしています。
それぞれのバージョンでの変更点は、以下を参照してください。
ただし以下のGNOMEアプリケーションは、異なるバージョンが採用されています。
アプリケーション | バージョン | 備考 |
---|---|---|
Nautilus | 3.20 | ファイルマネージャー |
端末 | 3.20 | ターミナルエミュレーター |
Evolution | 3.22 | グループウェアスィート |
GNOMEソフトウェア | 3.22 | アプリケーション管理 |
これはソフトウェアの安定性を優先したり、新しいバージョンに致命的な不具合が見つかったためです。
3.GNOMEソフトウェアがFlatpakをサポート
アプリケーション管理を行う「GNOMEソフトウェア」が「Flatpak」をサポートしました。「Flatpak」は「Snap」に類似した仕組みです。
「Ubuntu GNOME 17.04」では「Flatpak 0.8」がデフォルトでインストールされます。
また「Snap」もデフォルトでインストールされており、どちらのパッケージも利用することができます。
4.GNOMEシェル拡張機能を簡単にインストールできるようになった
「chrome-gnome-shell」がデフォルトでインストールされ、GNOMEシェル拡張機能をブラウザーから簡単にインストール(管理)できるようになりました。「chrome-gnome-shell」はブラウザーに必要なアドオンのインストールを支援します。
5.trackerのサンドボックス化
ファイルのメタデータをデータベース化し、ファイル検索時にメタデータを利用した検索を行えるようにする「tracker」がサンドボックス化され、セキュリティーが向上しました。6.デフォルトのインストールから外されたアプリケーション
以下のアプリケーションは、デフォルトでインストールされなくなりました。- brasero(CD/DVDの作成)
- evolution(グループウェア)
- seahorse(GPGやSSH鍵の作成や管理)
- xdiagnose(システムの診断ツール)
必要ならユーザーは後から上記のアプリケーションをインストールできます。
以前のバージョンから「Ubuntu GNOME 17.04」へアップグレードした場合は、この影響を受けません。
7.gnome-icon-themeがインストールされなくなった
アイコンテーマである「gnome-icon-theme」がデフォルトでインストールされなくなりました。モダンなアプリケーションが使用するデフォルトのアイコンは、2年前から「Adwaita」アイコンテーマから提供されており、「gnome-icon-theme」がデフォルトのインストールから外されました。
古いアプリケーションの中には「gnome-icon-theme」が提供するアイコンに依存しているものもあり、もし古いアプリケーションでアイコンが正常に表示されない場合は、「gnome-icon-theme」パッケージをインストールしてください。
8.gconfがデフォルトのインストールから外された
「gconf」がデフォルトでインストールされなくなりました。「gconf」はアプリケーションが自身の設定を保存するための仕組みです。
現在は「gconf」を置き換える「GSettings」が主流であり、デフォルトでインストールされるアプリケーションは「GSettings」を利用します。(バックエンドは「dconf」)
そのため今まで「gconf」を利用していたアプリケーションの設定は、デフォルト値にリセットされます。
デフォルトでインストールされる「Aisleriot(カードゲーム)」の成績等の情報はリセットされます。
9.GNOMEレシピが利用可能に
新しい「GNOMEレシピ」が利用可能になりました。デフォルトではインストールされていませんが、「GNOMEソフトウェア」からインストール可能です。
10.waylandが利用可能に
デフォルトで「wayland」セッションが利用できるようになっています。PCが「wayland」に対応したGPUを搭載しており、かつ「wayland」に対応したドライバーが利用できる場合、「wayland」セッションを利用できます。
「wayland」セッションは、ログイン画面から切り替えられます。
ただし「wayland」セッションは試験的な導入であり、安定した環境を提供するものではありません。
既知の問題
既知の問題です。1.JavaScript エンジンの変更
JavaScriptエンジンに「SpiderMonkey 38」を使用しています。このエンジンは構文解析が厳密になっており、GNOMEシェル拡張によっては修正が求められます。
2.ユーザーのプロファイル画像が設定できない
ユーザーのプロファイル画像に任意の画像が設定できません。3.外付けGPUでアプリを起動する機能が利用できない
外付けGPU(内蔵GPUではないGPU)を有効にしてアプリを起動する機能(Launch using Dedicated Graphics Card)は、「switcheroo-control」がないため現状は利用できません。4.GNOMEソフトウェアからパッケージをインストールできない
「GNOMEソフトウェア」からdebパッケージファイルやflatpakrefファイルをインストールすることができません。5.地域と言語から言語をインストールできない
地域と言語から言語をインストールできません。6.初期設定画面から設定したキーボードレイアウトはログインし直すまで反映されない
初期設定画面(gnome-initial-setup)から設定したキーボードレイアウトはログインし直すまで反映されません。代わりにインジケーターからキーボードレイアウトを変更すると良いでしょう。
また初期設定から言語設定を変更することはできません。