UBportsがビルドしたイメージが利用可能に
Nexus 4やNexus 7 2013 WiFiのようなユーザーがフラッシュする必要があるデバイスを除き、Canonicalが公式に販売したすべてのUbuntu Touchデバイスで、UBportsがビルドしたイメージが動作するようになりました。Nexus 4向けのイメージは現在開発中です。
Nexus 7に関しては、現在テストに利用できるNexus 7をUBportsは所有していません。
しかしうまくいけば、近々それらのイメージも提供できるようになるでしょう。
UBportsイメージをテストするには
UBportsイメージ(UBportsがビルドしたイメージ)をテストしたい場合、以下の内容を参考に作業してください。デバイスのバックアップに関する情報や、UBportsイメージでフラッシュする方法が記載されています。
もちろん上記の作業過程でデバイス内のすべてのデータが削除されるため、注意してください。
データを削除せずフラッシュするスクリプトの作成作業
デバイスのデータを削除することなくデバイスをフラッシュするスクリプトの作成が行われています。このスクリプトが完成してからUBportsイメージをテストするのも良いでしょう。
サポート対象のデバイスが大幅増加
今までUBportsがサポートするデバイスは、以下の3種類のデバイスでした。- Nexus 5
- OnePlus One
- Fairphone 2
しかしここ2ヶ月未満でUBportsがサポートするデバイスが、一気に13種類に増えました。
AGPSとMozillaロケーションサービス
UBportsでは、Canonicalが公式イメージで提供しているHERE Maps AGPSを利用しません。AGPSは、ネットワークの接続状況からデバイスの現在位置の特定を補助する仕組みです。
AGPSはGPSよりも高速に動作し、位置特定システムと組み合わせて利用することができます。
現在UBportsでは、Ubuntu Touch上でMozillaロケーションサービスの実装を利用し、テストが行われています。
6種類のチャンネル
チャンネルとは、Gitで言うところのブランチみたいなものです。安定版や開発版、あるいはバージョンのように、異なるソフトウェアをそれぞれのチャンネルで提供します。
このチャンネルが6種類に増えました。
チャンネルを大別すると、Ubuntu 15.04ベースのソフトウェアを提供するチャンネルと、新しいUbuntu 16.04ベースのソフトウェアを提供するチャンネルに別れます。
Ubuntu 15.04ベースのソフトウェアを提供するチャンネル
このチャンネルでは、レガシーイメージを含む従来のUbuntu 15.04をベースとしたソフトウェアが提供されます。性能が不十分な一部のUbuntu Touchデバイスはレガシーデバイスとして扱われ、新機能の追加等は行われず、セキュリティーアップデートのみ提供されます。
Ubuntu 16.04ベースのソフトウェアを提供するチャンネル
このチャンネルでは、新しいUbuntu 16.04をベースとしたソフトウェアやイメージが提供されます。性能が高い一部のUbuntu Touchデバイスはコアデバイスとして扱われ、新機能の追加など積極的なアップデートが受けられます。
このチャンネルはまだ利用できません。
今後利用可能になります。
それぞれ3種類のチャンネルを提供
上記で紹介したチャンネルには、それぞれ3種類のチャンネルが提供されます。(つまり合計6チャンネル)
develチャンネル
develでは、開発版のイメージを提供します。GitHubから自動的にソースコードが取得され、ソフトウェアがビルドされます。
開発版ですから不具合があったり不安定だったり、日常的に利用するチャンネルではありません。
開発者向けのチャンネルですね。
rcチャンネル
rcとは、Release Candidate、つまりリリース候補のことです。安定版1つ手前のバージョンということになります。
rcでは、develのイメージの中でテストをパスし、安定版として採用し得る品質を持つソフトウェアが提供されます。
テストに協力したいユーザーや、新機能にいちはやく触れてみたいスキルを持ったユーザーが利用するチャンネルですね。
stableチャンネル
stableでは、公式にリリースされた安定版のソフトウェアが提供されます。通常のユーザーは、このチャンネルで提供されるソフトウェアを利用することになります。
OTAも積極的に提供予定
OTA(ソフトウェアのアップデート)もCanonicalの時よりもより積極的に行い、すべてのユーザーが新機能や不具合の修正が受けられるようにしたいとのことです。Haliumの状況
基本的なAndroidコンテナーを利用してUbuntu 16.04が起動できるようになりました。現在すでに多くの機能が動作しています。
デバッグに必要なadbやsshが動作し、Mir、WiFi、Bluetooth、サウンド、音声呼び出し機能も動作しています。
近々Ubuntu 16.04のdevelチェンネルで、ビルドが提供されるようになるでしょう。
しかしまだ作業半ばです。
ユーザーにソフトウェアやイメージを提供する前に、完遂しなければならない多くの作業を洗い出し、具体的な作業項目に落とし込む必要があります。
バックアップと復元スクリプト
Ubuntu Touchのインストールを簡単に行えるよう、データのバックアップと復元を行うスクリプトの開発が行われています。このスクリプトは、Magic Device Toolに統合され提供される予定です。
これにより、ユーザーはデータの喪失といった不安から解放されるでしょう。
Dekkoの開発継続
Dekkoは、Ubuntu Touchで利用できるメールクライアントソフトです。Clickパッケージで提供されていたソフトウェアですが、Canonicalの方針転換の発表を受け、開発が中止されていました。
しかしDekkoはUbuntu Touchコミュニティーで多くの関心を集め、Dekkoの開発者は開発継続の意思表示を行いました。
DekkoはOpenStoreで提供され、レガシーデバイスでも利用可能になる予定です。
コアアプリのOpenStoreでの提供
まだOpenStoreで提供されていないコアアプリをOpenStoreで提供するための作業が行われています。バージョンアップしたドキュメントビューワーのStefanoが近々登場予定です。
Telegram AppはCutegramをベースにする作業が行わていましたが、この作業は簡単な作業ではないということが判明したため、引き続き現在のスタック上で作業が行われています。
Supergroupsは現在作業中ですが、2段階認証は動作しています。
UBports InstallerとMagic Device Tool
これらのツールは、Ubuntu Touchのインストールを支援するツールです。UBports Installer
UBports Installerは、シンプルなUIでUbuntu Touchのインストールを支援します。このツールを利用したUbuntu Touchのインストール作業は、おおよそ以下の流れになります。
- デバイスをPCに接続する
- UBports Installerを起動する
- チャンネルを選択する
- インストール開始
UBports Installerはまだリリースされていませんが、開発版のソースコードは以下で入手できます。
UBports Installerは、Linux、Windows、MacOSで利用できます。
UBports Installerの動作デモは、以下を参照してください。
Magic Device Tool
Magic Device Toolはパワフルなツールです。Ubuntu Touchだけでなく様々OSを簡単にモバイルデバイスにインストールできます。
このツールのスクリプトは以下からダウンロードできます。
またSnapパッケージでも提供されているため、以下のコマンドでツールをインストールすることもできます。
sudo snap install magic-device-tool --devmode
このツールを利用する前に、「README.md」に目を通しておきましょう。
不具合報告について
不具合報告は、GitHubで受け付けています。不具合報告の書き方は、以下を参照してください。
翻訳について
翻訳については、まだセットアップは行われていませんが、Launchpadが利用される予定です。その他
- Patreonが$1500に達した
- 今週からMarius Gripsgard氏がフルタイムでUBportsで活動することになった
- Private Internet Accessがスポンサーになった
Q&Aコーナー
Q&Aです。マルチROMはサポートするの?
サポートしない。ここ一年以上マルチROMで動作確認は行っていないし、マルチROMをサポートするとしたら多くの修正作業が必要になるだろう。
もしマルチROMを所有しておりUbuntu Touchを利用したいなら、どちらかのOSのみを利用して欲しい。
もしかしたらこの状況はHaliumプロジェクトの成果により変化するかもしれない。
しかし状況の変化は確定しているものではないし、我々が約束できるものでもない。
もしコミュニティー内でサポートを行いたい人がいるなら、我々はその作業を支援する。
ただ、我々の作業項目にマルチROMのサポートが含まれることはないだろう。
X11ベースのアプリはどうなる?
Libertineコンテナーを利用してデスクトップ向けLinuxアプリのインストールは可能だ。ただ洗練された動作はしない。
そのため我々が提供するイメージにデスクトップアプリはプリインストールしていなかった。
Libertineコンテナーに関心があるなら、このガイドを参照して欲しい。
16.04では、X11とWaylandアプリを簡単に利用できるようにしたいと考えているが、それはまだ先の話だ。
Mir on top of Waylandの状況は?
ユーザー視点で言えば、利用できる状況にない。開発者視点で言えば、開発中であり、まだ初期段階である。
なぜapt-getは利用できないの?
もしファイルシステムが書き込み可能であれば、デバイス上でaptが利用できるだろう。しかしaptを利用することで簡単にシステムを破壊できるため、多くのユーザーにとってaptは推奨されるものではない。
デスクトップ向けのLinuxディストリビューションと異なり、我々はシステムのアップデートにイメージベースのアップグレードを採用している。
つまりルートファイルシステムとすべてのパッケージを一纏めにして提供しているのだ。
この手法はデバイス上で「sudo apt update && sudo apt upgrade」を実行するよりも、早くアップデートが完了する。
アプリの開発者にアプリをOpenStoreへ移すようCanonicalに動いてもらうってのはどう?
おそらくCanonicalに頼んでもやってくれないだろう。我々はすでに多くの開発者と連絡を取り、積極的にメンテナンスされているほとんどのアプリはOpenStoreに移した。
なのでCanonicalに動いてもらう必要はない。
もしClick Storeにあるアプリの中でOpenStoreに移したいアプリがあるなら、アプリの開発者に頼んでOpenStoreに移せないか尋ねてみて欲しい。
アプリってどうやって作るの?
Ubuntu SDKはひどく壊れており、アプリの開発は困難を伴うだろう。それにその状況を修正するには人員が不足している。
アプリの開発に関心があるなら、以下を参照して欲しい。
- App Development / Ubuntu Touch Programming Course
- Set up a Clickable working environment inside an LXC container
- Ubuntu phone documentation
また既存の多くのアプリはオープンソースであるため、アプリのソースコードを参照するのも良いだろう。
Ubuntu Touchエミュレーターはどうなってる?
エミュレーターは修正が必要だが、現時点で優先順位は高くない。修正はHALをGoldfishデバイスへ移植する必要があるのだが、Haliumの成果を待ってから作業を行ったほうがうまく行くだろう。