Ubuntu Touchの開発状況(2018/9/29)
「Ubuntu Touch」の開発状況の紹介です。Ubuntu Touchとは
「Ubuntu Touch」は、スマートフォンやタブレットなどモバイルデバイス向けに最適化されたOSです。「Ubuntu Touch」は「Ubuntu」ベースのOSであり、「UBports」コミュニティーにより開発が行われています。
外部ディスプレイとキーボード、そしてマウスをモバイルデバイスに接続すれば、UIがデスクトップ向けのUIに変化し、デスクトップとして活用することもできます。
つまり1つのモバイルデバイスで、モバイル環境とデスクトップ環境を利用することができます。
「Ubuntu Touch」がサポートしているデバイスや、各デバイスで利用可能な機能及び制限は、以下を参照してください。
Qtの自動レガシースケーリングのサポート
「Ubuntu Touch」でQtの組み込み自動レガシースケーリングを利用できるようにするため、パッチは作成されました。これによりシステムは、Qtアプリ内のハードコーディングされたすべてのウィジェットのサイズに、整数スケールを適用できるようになります。
例えばウィジェットのサイズが100 x 100だった場合、2倍なら200x200に拡大されます。
またこれにより「QtQuickControls2」で開発されたアプリを非常に簡単に「Ubuntu Touch」へ移植できるようになります。
Kirigami2のサポート
「Kirigami2」は、「QtQuick」のコンポーネント群です。「Kirigami2」を「Ubuntu Touch」でサポートするための作業が行われました。
「Kirigami2」のサポートにより、「Ubuntu Touch」上で「Kirigami Gallery」のようなKDEネイティブアプリが動作するようになります。
また「Kaidan(Kirigami2を利用して開発されたXMPPメッセンジャー)」がスマフォ上で動作する様子がデモンストレーションされました。
16.04 OTAアップデート
「15.04/rc」から「16.04/rc」への自動アップグレード及び、「15.04/devel」から「16.04/devel」への自動アップグレードが数日中に有効になります。これによりデバイスは「16.04」相当のアップデートが受け取れるようになります。
Ciboriumの新しいアイコン
UBports UI & Graphicsチームは、「Ciborium」向けの新しいアイコンを作成しました。「Ciborium」は、「Ubuntu Touch」向けの外部デバイス管理ツールです。
レガシーデバイスの名称が無くなる
今まで「UBports」がサポートするデバイスには、「レガシーデバイス」と「コアデバイス」の2種類がありました。「レガシーデバイス」は16.04ベースの「Ubuntu Touch」に対応しないデバイスを指していましたが、その状況が変わったため「UBports」がサポートするすべてのデバイスは「コアデバイス」に統一されました。
またこれに加えコミュニティーが「Ubuntu Touch」を移植したデバイスがあります。
こちらは従来通りコミュニティーデバイスと名付けられています。
コミュニティーデバイスはコミュニティーによってメンテナンスされるデバイスであり、「UBports」による完全なサポートはありません。
Anbox
「Anbox」の新しい開発バージョンが登場しました。「FP2」や「OPO」などデバイスのサポートが追加されています。
パフォーマンスが改善され、早期の試験的なバージョンに比べパフォーマンスが向上しています。
ただし現時点では、カメラ、GPS、キーボード、その他ハードウェアのサポートが不十分です。
開発版はテスト段階のソフトウェアであり、一般ユーザーが試すバージョンではありません。
またカーネルの変更が必要であり、デバイスのソフトウェアが正常に動作しなくなる可能性があります。
Anbox Tool
「Anbox Tool」は、Anboxコンテナーを管理する新しいツールです。「Anbox Tool」は「Python」で作られています。
「Anbox Tool」を利用してapkファイルのインストールやアンインストールを行うことができます。
Bluetoothのサポートについて
電話や音量調整が期待通りに動作しないなど、開発チームは「Ubuntu Touch」の「Bluetooth」サポートが不十分であることを把握しています。「Ubuntu Touch」の「Bluetooth」サポートは、「Bluez」プロジェクトによって支えられています。
「Bluez」はデスクトップPC環境が主軸になっているため、「Bluez」プロジェクトが常に「Ubuntu Touch」のために動いてくれるとは限りません。
また「Bluetooth」の世界(メーカーやベンダー)は一枚岩ではなく、「Apple」や「Google」でさえも「Bluetooth」に関する問題を抱えています。
「Ubuntu Touch」の「Bluetooth」サポートが不十分である理由の一部が解ると思います。
「Bluetooth」サポートの改善は重要なことですが、あるデバイスの「Bluetooth」の問題を修正するためには、非常に多くの時間とリソースを投入する必要があります。
ですので「Bluetooth」の問題を抱えているユーザーから、「Bluetooth」周りの情報やログなど、調査に必要な情報の提供といった協力が必要になります。