アレイの構築
「アレイの構築」とは、以前作成したアレイを利用できるように構築することです。以前作成したアレイを利用したい場合は、この「アレイの構築」から作業を始めます。
アレイの開始について
「mdadm」では、アレイを構築した時にアレイに障害が発生していなければ、「アレイの開始」も行います。アレイの識別子について
アレイを構築するにあたり、どのアレイを構築するのかアレイを識別する識別子を指定する必要があります。アレイの識別子には以下の種類があります。
1.アレイの名称
アレイ作成時に指定した「アレイの名称」です。2.アレイのUUID
アレイ作成時に自動的に割り振られるアレイのUUIDです。3.物理ボリューム
アレイを構成する物理ボリュームです。アレイ作成時等、ユーザーが指定する物理ボリュームのことです。
「スペアディスク」等も忘れずに指定してください。
物理ボリュームの指定漏れを避けるためにも、他の識別子を利用したほうが良いかと思います。
どの識別を利用するのが良いのか
どれでも良いですが、覚えやすいのは「アレイの名称」でしょうか。アレイの識別子を調べるには
アレイの識別子は、以下のいずれかの方法で調べることができます。アレイの構築方法について
アレイの構築方法には、大別して以下の方法があります。- 論理ボリュームのデバイスファイルを指定してアレイを構築する
- 設定ファイルに記述されている情報から自動的にアレイを構築する
ここでは前者について扱います。
論理ボリュームのデバイスファイルを指定してアレイを構築するコマンドの説明
論理ボリュームのデバイスファイルを指定してアレイを構築する方法です。この方法は主にユーザーがアレイの修復を行いたい時に利用します。
ショートオプションとロングオプションについて
モードやオプションの記述方法には、「ショートオプション」と「ロングオプション」の2種類があります。どちらを利用しても良いでのですが、ここでは意味が分かりやすい「ロングオプション」を使用します。
コマンドのフォーマット
「mdadm」コマンドのフォーマットは以下になります。mdadm <モード> <論理ボリューム> <アレイを識別するオプション> <アレイの構築オプション>
モード
モードは、「mdadm」の動作モードを指定します。アレイの構築なので、以下のモードを指定します。
ショートオプション | ロングオプション | 記述例 |
---|---|---|
-A | --assemble | --assemble |
論理ボリューム
論理ボリュームのデバイスファイルを指定します。既存の論理ボリュームのデバイスファイルと重複しないデバイスファイルを指定します。
デバイスファイルのフォーマット
以下のフォーマットで指定すると良いでしょう。/dev/md/アレイの名称
記述例
- /dev/md/MyArray
- /dev/md/Data
- /dev/md/Backup
アレイを識別するオプション
アレイを識別するオプションは、どのアレイを構築するのかアレイを識別する情報を指定します。それぞれの識別子を組み合わせて指定した場合は、指定された識別子をすべて満たすアレイが構築対象になります。
アレイの識別子 | ショートオプション | ロングオプション | 記述例 |
---|---|---|---|
アレイの名称 | -N | --name= | --name=RAID1Array |
アレイのUUID | -u | --uuid= | --uuid=bb837c9b:0c3fbb10:a405c1a0:1d679f29 |
物理ボリューム | なし | なし | /dev/sdd2 /dev/sde2 /dev/sdf2 |
ホームホストについて
「アレイの名称」を指定する際、「ホームホスト」を省略した場合はデフォルトの「ホームホスト」が指定されたものとして扱われます。glob
物理ボリュームの指定は、globに対応しています。例えば上記の記述例は、以下のように記述することもできます。
/dev/sd[d-f]2
/dev/sd[def]2
アレイの構築オプション
アレイ構築に関するオプションです。1.ライトインテントビットマップ
「ライトインテントビットマップ」を有効にし「外部ビットマップ」を指定していた場合は、そのファイルをアレイ構築時に指定する必要があります。ショートオプション | ロングオプション | 記述例 |
---|---|---|
-b | --bitmap= | --bitmap=/root/RAID1Array.bitmap |
2.アレイの再形成のバックアップファイル
「アレイの再形成」時に「バックアップファイル」を指定しており、かつ「アレイの再形成」が完了していなかった場合は、その「バックアップファイル」をアレイ構築時に指定する必要があります。さもないと、データの整合性がとれずデータが失われます。
ショートオプション | ロングオプション | 記述例 |
---|---|---|
なし | --backup-file= | --backup-file=/root/RAID1Array.reshape |
3.追加情報の表示
「mdadm」実行時に、追加情報を表示します。ショートオプション | ロングオプション | 記述例 |
---|---|---|
-v | --verbose | --verbose |
4.物理ボリュームが足りなくてもアレイを開始する
アレイを構成する物理ボリュームが足りなくても、アレイを「デグレードモード」で開始します。このオプションを指定しなかった場合、アレイは開始しません。
ショートオプション | ロングオプション | 記述例 |
---|---|---|
-R | --run | --run |
5.設定ファイルの指定
このオプションを省略した場合は、デフォルトの設定ファイルが使用されます。アレイを構築するのに必要な情報が不足していた場合は、設定ファイルから情報が読み込まれます。
例えば「ホームホスト」を省略した場合、設定ファイルに記述されている「ホームホスト」が使用されます。
ショートオプション | ロングオプション | 記述例 |
---|---|---|
-c | --config= | --config=/root/array.conf |
以下の値を指定できます。
設定の内容 | 値 | 記述例 |
---|---|---|
設定ファイルの指定 | 設定ファイルのパス | --config=/root/array.conf |
パーティション及びコンテナー (DEVICE partitions containers) |
partitions | --config=partitions |
空の設定ファイル | none | --config=none |