Ubuntu・Kubuntu・Xubuntu・Lubuntu・Ubuntu GNOMEの比較 (14.04版)
以前バージョン12.10の時に、Ubuntu・Kubuntu・Xubuntu・Lubuntuの比較を行いました。今回リリースされたバージョン14.04はLTS版ということもあり、14.04版でUbuntu及び各フレーバーを比較してみました。
またバージョン13.04から新たにフレーバーとして加わったUbuntu GNOMEも、比較の対象に追加しました。
環境について
今回比較するUbuntu及び各フレーバーは、以下の環境にインストールしています。- VirtualBox 4.3.10
- 各OSは日本語環境にセットアップ済み
- VirtualBox Guest Addtionsをインストール済み
- すべてのアプリ(パッケージ)をアップデート済み
- OSのバージョンは14.04 64bit版
- UEFIでインストール
あくまでVirtualBox上で比較した内容なので、各種数値は参考程度に留めてください。
比較内容と比較結果
Ubuntu及び各フレーバーの比較内容と比較結果です。比較項目 | Ubuntu | Kubuntu | Xubuntu | Lubuntu | Ubuntu GNOME |
---|---|---|---|---|---|
デスクトップ環境 | Unity | KDE | Xfce | LXDE | GNOME |
メモリー使用量 | 374MiB | 408MiB | 281MiB | 174MiB | 352MiB |
HDD使用量 | 5.6GiB | 5.63GiB | 4.85GiB | 4.26GiB | 5.2GiB |
起動時間 | 19秒 | 18秒 | 17秒 | 13秒 | 19秒 |
UI | Mac OS X | WindowsXP Windows7 |
WindowsXP Windows7 |
Windows 98 Windows 2000 |
Windows 8 |
日本語対応 | 問題なし | 英語表記のUIあり | 問題なし | ほぼ問題なし | 問題なし |
OpenGL | ○ | ○ | ー | ー | ○ |
情報量 | 5950万件 | 248万件 | 197万件 | 157万件 | 119万件 |
情報量(日本語) | 180万件 | 7.6万件 | 10.5万件 | 12.4万件 | 2.7万件 |
サポート期間(通常) | 9ヶ月 | 9ヶ月 | 9ヶ月 | 9ヶ月 | 9ヶ月 |
サポート期間(LTS) | 5年 | 5年 | 3年 | 3年 | 3年 |
デスクトップ環境
各OSで採用しているデスクトップ環境の名称です。メモリー使用量
メモリー使用量は、OSにログインした後のOSのメモリーの使用量です。ログイン後に1分程度待ち、「free」コマンドで表示された値を元にしています。
また参考のために、システムモニターを起動した時のメモリー使用量も載せます。
システムモニターの起動は、各OSが標準で用意しているランチャーから起動しています。
Ubuntu
Ubuntuのシステムモニターです。Dashを経由してシステムモニターを起動したため、メモリの使用量が増加しています。
Kubuntu
Kubuntuのシステムモニターです。大きな変化はありませんでした。
Xubuntu
Xubuntuのタスクマネージャ(システムモニター相当のアプリ)です。大きな変化はありませんでした。
Lubuntu
Lubuntuのタスクマネージャ(システムモニター相当のアプリ)です。大きな変化はありませんでした。
Ubuntu GNOME
Ubuntu GNOMEのシステムモニターです。大きな変化はありませんでした。
まとめ
XubuntuとLubuntuのメモリー使用量の少なさが見て取れます。Ubuntu GNOMEもUbuntuやKubuntuに比べれば、少ないです。
ただUbuntu・Kubuntu・Ubuntu GNOMEは、Windows XP時代のような性能の低いPCには向いておらず、それなりの性能を持ったPCで利用することになります。
その場合、数十MiBの差は大した差ではないのかもしれません。
いずれにせよ、アプリを複数起動して利用するわけですから、メモリーを1GiB搭載しているから問題ない、といった判断はできません。
結局自分の使い方でメモリーが足りるかどうか試用した上で決めることになります。
UbuntuのDashについて
Ubuntuの場合、Dashを開いただけで60MiBほどメモリーの使用量が増えます。Dashはただのアプリケーションランチャーではなく、様々な情報を検索して表示します。
HDD等ローカル上のリソースだけでなくWeb上のリソースも対象になります。
ブラウザーのブックマークを検索したり、計算機にもなります。
アプリのインストールやアンインストールも可能です。
Dashは多機能なためか、メモリー使用量も多めになっています。
ただ、オンライン検索を無効にすれば、メモリー使用量の増加は30MiB程度に収まります。
加えて必要ないDashプラグインを無効にすれば、さらにメモリー使用量を削減することができるでしょう。
HDD使用量
ルートパーティション(OSをインストールしたパーティション)の使用量です。EFIシステムパーティションやスワップパーティションは含まれません。
VirtualBox Guest Addtionsのインストールや、VirtualBox Guest Addtionsをビルドするためのパッケージ等を後からインストールしているため、素の状態だともう少しHDDの使用量は少なめになります。
Ubuntu
UbuntuのHDD使用量です。Kubuntu
KubuntuのHDD使用量です。Xubuntu
XubuntuのHDD使用量です。Lubuntu
LubuntuのHDD使用量です。Ubuntu GNOME
Ubuntu GNOMEのHDD使用量です。まとめ
Lubuntuが最もHDDの使用量が少ないです。次点でXubuntuのHDDの使用量が少ないです。
ただLubuntuもXubuntuも標準でインストールされるアプリの構成がシンプルですから、他のOSよりも後からアプリをインストールする機会が多くなると思います。
例えばLubuntuもXubuntuもLibreOfficeがインストールされていません。
LibreOfficeをインストールすると、400MiB以上HDDの使用量が増えます。
使い方により、結果的に大きな差にならないケースもあります。
起動時間
OSが起動してからログイン画面が表示されるまでの時間です。ホスト側はスワップが発生しないようにしていますが、ホスト側のディスクキャッシュ等不安定な要素があるので、それなりに見ておいたほうが良いです。
Lubuntuが最も早いのは、以前と変わりません。
軽量と言われているXubuntuとUbuntuやKubuntu等を比較すると、殆ど差がないように見えます。
しかしログイン後の時間まで含めると、Xubuntuの方が明らかに早く、そこそこの差がつくでしょう。
UI
UIの構成を他のOSで表現しています。あくまで見た目や使い方が似てるというだけです。
Windowsで言うところのスタートメニュー(アプリケーションランチャー)や、メニュー構成、Windowsで言うところのタスクバーの構成等を対象にしています。
Ubuntu GNOMEは、いわゆるスタートメニューが全画面で表示されるというだけで、Windows 8のModern UIの中身とは大きく異なります。
日本語対応について
いずれのOSも日本語の入力や表示は可能です。UIの日本語化に焦点を当てています。
標準でインストールされるアプリが対象になります。
Lubuntuは日本語化が進み、使いやすくなりました。
Kubuntuはまだまだ英語で表示されるUIが多く、特にシステム設定に関しては英語表記のUIが多いです。
OpenGL
デスクトップ環境がOpenGLを要求し、かつ、OpenGLの性能が高いほうが快適に利用できる場合は「○」と記述しています。それ以外は「ー」と記述しています。
Kubuntuは細かなカスタマイズが可能なので、自分でパフォーマンスを調整することができます。
Windowsに置き換えて表現すると
Windows VistaやWindows 7で言うところのAero相当の機能を使用する場合は「○」になります。Windowsでは3Dの描画に「Direct3D」を使用しますが、Ubuntuやフレーバーではこれが「OpenGL」になります。
どのフレーバーでもOpenGLが利用できます
デスクトップ環境がOpenGLを要求するというだけですので、XubuntuやLubuntuでOpenGLを利用できないということはありません。XubuntuやLubuntuでも3DモデリングツールのようなOpenGLを使用するアプリを利用することができます。
もちろんその場合は、そのアプリを快適に使用するためにOpenGL性能の高いGPUが必要になります。
OpenGLのサポート状況についてはいずれのフレーバーもベースがUbuntuと同じであるため、Ubuntu以外のフレーバーでも同様にOpenGLのアプリが利用できます。
そういう意味ではUnityは、OpenGLを使用するアプリの一つと捉えることができます。
情報量について
「OS名」で検索したWeb上の情報量です。あくまでも目安です。
日本語のサイトも含みます。
情報量(日本語)
「OS名」で検索し、日本語のサイトを対象にした時のWeb上の情報量です。あくまでも目安です。
日本語の情報量が多いほうが利用する上で楽かと思います。
いずれのOSも「Ubuntu Japanese Team」のフォーラムで質問することができますが、利用者が少ないOSだと回答が付きにくいかもしれません。
サポート期間(通常)
通常リリース(非LTS)のサポート期間です。表内の記述は通常リリースであるバージョン 13.10のサポート期間です。
現状通常リリースのサポート期間は、どのOSも9ヶ月です。
サポート期間(LTS)
LTS版(Long Term Support)のサポート期間です。表内の記述は、LTS版であるバージョン 14.04のサポート期間です。
OSによりサポート期間が異なるため、注意が必要です。
どれを選ぶか?
実際に試用して気に入ったOSを選んでください。ハードウェア性能が低いため軽いのがいい・Ubuntuでは重かった
ハードウェアの性能が良くない場合、XubuntuかLubuntuを選択することになります。最軽量はLubuntuですが、試用して使いやすかった方を選択するとよいでしょう。
日本語じゃないと困る
Ubuntuがお勧めです。「Ubuntu Japanese Team」では「Ubuntu Desktop 日本語 Remix」のディスクイメージを配布しており、日本語のサイトからディスクイメージをダウンロードできます。
標準でインストールされるアプリも日本語化されており、利用に困ることはないでしょう。
「Ubuntu Desktop 日本語 Remix」のおかげで、ライブメディアから起動したUbuntuで日本語が利用可能なだけでなく、日本語入力等日本語環境も充実しています。
Ubuntu以外であれば、Kubuntuを除くOSが良いでしょう。
Linuxを使ったことがない
Ubuntuがお勧めです。Web上だけでなく雑誌等の情報量も多く、ユーザー数も多いです。
トラブルや不具合情報も入手しやすく、トラブル対処が容易になります。
大抵の質問には答えが返ってきますし、雑誌でも取り上げられる機会も多いと思います。
また日本語Remixが存在するのも、Ubuntuだけです。
細かくカスタマイズしたい
見た目のカスタマイズやアニメーション効果、アプリのカスタマイズを細かく行いたいのなら、Kubuntuがお勧めです。Kubuntuは多機能なアプリが多く、使い勝手の良いアプリがたくさんあります。