Ubuntu mdadm その97 - 物理ボリュームをフォルティーディスクに設定する・物理ボリュームをフォルティーディスクに設定するコマンドの例

フォルティーディスクに設定する

指定された物理ボリュームを「フォルティーディスク」に設定します。
「フォルティーディスク」というと、故障した物理ボリュームのように聞こえますが、そうではなく、故障していようがいまいが、アレイから使用されなくなるディスクのことです。

もしアレイからアレイで使用中の物理ボリュームを取り除く場合、まずその物理ボリュームを「フォルティーディスク」に設定する必要があります。

また、「フォルティーディスク」を設定してもアレイに関連付けられたままになるため、別の目的で物理ボリュームを使用する場合は、その物理ボリュームを取り除いてください。

冗長性のあるアレイ

冗長性のあるアレイでは、アレイが「デグレードモード」で動作できる場合、「デグレードモード」で動作します。

ただしアレイが提供する冗長性を超えて「フォルティーディスク」を設定した場合（「デグレードモード」で動作できる物理ボリューム数を超えて「フォルティーディスク」を設定した場合）、アレイとして動作できないため、データは失われます。

冗長性のないアレイ

冗長性のないアレイでは、そもそもアレイとして動作できないため、「フォルティーディスク」の設定をユーザーが行うことはできません。

コマンドのフォーマット

「mdadm」コマンドのフォーマットは以下になります。

mdadm ＜モード＞ <論理ボリューム> <物理ボリューム>

ショートオプションとロングオプションについて

モードやオプションの記述方法には、「ショートオプション」と「ロングオプション」の2種類があります。
どちらを利用しても良いでのですが、ここでは意味が分かりやすい「ロングオプション」を使用します。

モード

モードは、「mdadm」の動作モードを指定します。
フォルティーディスクの設定（Manage Mode）なので、以下のオプションを指定します。

ショートオプション	ロングオプション	記述例
-f	--fail	--fail

論理ボリューム

操作対象の論理ボリュームのデバイスファイルを指定します。
複数の論理ボリュームのデバイスファイルは指定できません。

記述例

/dev/md/RAID1Array

物理ボリューム

「フォルティーディスク」を設定する物理ボリュームのデバイスファイルを指定します。

複数の物理ボリュームのデバイスファイルを指定することができます。
複数の物理ボリュームのデバイスファイルを指定する場合は、各物理ボリュームのデバイスファイルを、スペースで区切ってください。

/dev/sdd2 /dev/sde2 /dev/sdf2

glob

物理ボリュームの指定は、globに対応しています。
    例えば上記の記述例は、以下のように記述することもできます。

    /dev/sd[d-f]2
    /dev/sd[def]2

物理ボリュームをフォルティーディスクに設定するコマンドの例

物理ボリュームをフォルティーディスクに設定するコマンドの例です。

環境について

以下のアレイを作成した環境でコマンドを実行しています。

RAID 1アレイを作成する基本的なコマンドの例・作成したアレイの確認と利用

1.論理ボリュームの確認

比較のため現状の論理ボリュームの情報を確認します。
赤字の箇所を確認すると、3つの物理ボリュームが有効になっていることが分かります。

ubuntu@vb-ubuntu1310:~$ sudo mdadm --detail /dev/md/RAID1Array
/dev/md/RAID1Array:
        Version : 1.2
Creation Time : Fri Mar 28 18:56:37 2014
     Raid Level : raid1
     Array Size : 102272 (99.89 MiB 104.73 MB)
Used Dev Size : 102272 (99.89 MiB 104.73 MB)
   Raid Devices : 3
Total Devices : 3
    Persistence : Superblock is persistent

    Update Time : Mon Mar 31 21:02:32 2014
          State : clean
Active Devices : 3
Working Devices : 3
Failed Devices : 0
Spare Devices : 0

           Name : vb-ubuntu1310:RAID1Array (local to host vb-ubuntu1310)
           UUID : 3988f620:ab3db7cb:21dbecf2:ec71fff4
         Events : 92

    Number   Major   Minor   RaidDevice State
       0       8       50        0      active sync   /dev/sdd2
       1       8       66        1      active sync   /dev/sde2
       3       8       82        2      active sync   /dev/sdf2

2.フォルティーディスクの設定

以下コマンドを実行し、「フォルティーディスク」に設定します。
ここでは例として、対象とする物理ボリュームは「/dev/sdf2」にします。

sudo mdadm --fail /dev/md/RAID1Array /dev/sdf2

3.コマンドの実行結果

コマンドを実行すると、以下のように表示されます。

ubuntu@vb-ubuntu1310:~$ sudo mdadm --fail /dev/md/RAID1Array /dev/sdf2
mdadm: set /dev/sdf2 faulty in /dev/md/RAID1Array

結果から「/dev/sdf2」が「フォルティーディスク」に設定されたことが分かります。

4.論理ボリュームの確認

論理ボリュームの情報を確認します。
赤字の箇所を確認すると、以下のことが分かります。

「デグレードモード」である
3番目のスロットに物理ボリュームが割り当てられていない
「/dev/sdf2」は「フォルティーディスク」である

ubuntu@vb-ubuntu1310:~$ sudo mdadm --detail /dev/md/RAID1Array
[sudo] password for ubuntu:
/dev/md/RAID1Array:
        Version : 1.2
Creation Time : Fri Mar 28 18:56:37 2014
     Raid Level : raid1
     Array Size : 102272 (99.89 MiB 104.73 MB)
Used Dev Size : 102272 (99.89 MiB 104.73 MB)
   Raid Devices : 3
Total Devices : 3
    Persistence : Superblock is persistent

    Update Time : Wed Apr 2 21:49:30 2014
          State : clean, degraded
Active Devices : 2
Working Devices : 2
Failed Devices : 1
Spare Devices : 0

           Name : vb-ubuntu1310:RAID1Array (local to host vb-ubuntu1310)
           UUID : 3988f620:ab3db7cb:21dbecf2:ec71fff4
         Events : 94

    Number   Major   Minor   RaidDevice State
       0       8       50        0      active sync   /dev/sdd2
       1       8       66        1      active sync   /dev/sde2
       2       0        0        2      removed

       3       8       82        -      faulty spare   /dev/sdf2

5.物理ボリュームの確認

物理ボリュームの情報を確認します。

赤字の箇所を見ると、有効な物理ボリュームでは現在のスロットの状態が反映されています。
一方「フォルティーディスク」に設定した「/dev/sdf2」では、「メタデータ」は更新されずそのままの状態になっていることが分かります。

/dev/sdd2

ubuntu@vb-ubuntu1310:~$ sudo mdadm --examine /dev/sdd2
/dev/sdd2:
          Magic : a92b4efc
        Version : 1.2
    Feature Map : 0x0
     Array UUID : 3988f620:ab3db7cb:21dbecf2:ec71fff4
           Name : vb-ubuntu1310:RAID1Array (local to host vb-ubuntu1310)
Creation Time : Fri Mar 28 18:56:37 2014
     Raid Level : raid1
   Raid Devices : 3

Avail Dev Size : 204672 (99.95 MiB 104.79 MB)
     Array Size : 102272 (99.89 MiB 104.73 MB)
Used Dev Size : 204544 (99.89 MiB 104.73 MB)
    Data Offset : 128 sectors
   Super Offset : 8 sectors
          State : clean
    Device UUID : 4a48dec4:daab4dbd:73b2d82f:1a9ed012

    Update Time : Wed Apr 2 22:09:53 2014
       Checksum : ff87dfaf - correct
         Events : 102

   Device Role : Active device 0
   Array State : AA. ('A' == active, '.' == missing)

/dev/sde2

ubuntu@vb-ubuntu1310:~$ sudo mdadm --examine /dev/sde2
/dev/sde2:
          Magic : a92b4efc
        Version : 1.2
    Feature Map : 0x0
     Array UUID : 3988f620:ab3db7cb:21dbecf2:ec71fff4
           Name : vb-ubuntu1310:RAID1Array (local to host vb-ubuntu1310)
Creation Time : Fri Mar 28 18:56:37 2014
     Raid Level : raid1
   Raid Devices : 3

Avail Dev Size : 204672 (99.95 MiB 104.79 MB)
     Array Size : 102272 (99.89 MiB 104.73 MB)
Used Dev Size : 204544 (99.89 MiB 104.73 MB)
    Data Offset : 128 sectors
   Super Offset : 8 sectors
          State : clean
    Device UUID : d76a7749:af8d01c6:cbd7094a:8d2d0f44

    Update Time : Wed Apr 2 22:09:53 2014
       Checksum : d84498dd - correct
         Events : 102

   Device Role : Active device 1
   Array State : AA. ('A' == active, '.' == missing)

/dev/sdf2（フォルティーディスク）

ubuntu@vb-ubuntu1310:~$ sudo mdadm --examine /dev/sdf2
/dev/sdf2:
          Magic : a92b4efc
        Version : 1.2
    Feature Map : 0x0
     Array UUID : 3988f620:ab3db7cb:21dbecf2:ec71fff4
           Name : vb-ubuntu1310:RAID1Array (local to host vb-ubuntu1310)
Creation Time : Fri Mar 28 18:56:37 2014
     Raid Level : raid1
   Raid Devices : 3

Avail Dev Size : 204672 (99.95 MiB 104.79 MB)
     Array Size : 102272 (99.89 MiB 104.73 MB)
Used Dev Size : 204544 (99.89 MiB 104.73 MB)
    Data Offset : 128 sectors
   Super Offset : 8 sectors
          State : clean
    Device UUID : fe688a8c:590ac862:88b9b1e0:4a6be89e

    Update Time : Tue Apr 1 22:14:45 2014
       Checksum : a9a1f0d4 - correct
         Events : 92

   Device Role : Active device 2
   Array State : AAA ('A' == active, '.' == missing)

mdadm

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