MATE 1.14GTK+3へ移行
「Ubuntu MATE 16.04」では「GTK+2」が使用されていますが、「Ubuntu MATE 16.10」では「GTK+3」に移行し、「GTK+3」でのみビルドされるようになります。上記のスクリーンショットは、以下の環境で作成されたスクリーンショットです。
項目 | バージョン |
---|---|
Ubuntu MATE | 16.10 |
MATE | 1.14 |
GTK+3 | 3.18 |
「GTK+3」への移行作業にあたり、うまくいった点とうまくいっていない点(課題と問題)が列挙されています。
うまくいった点
- GTK+3へ移行するMATE 1.14パッケージが、1ヶ月前にDebianのgitにコミットされた
- Ubuntu MATE 16.10向けに「MATE 1.14 + GTK+3」のテスト用のPPAを作成した
- Ubuntu MATEのテーマがGTK+3で動作した
- Debianの開発者は現在レビューを行っており、Debian unstableへのMATE 1.14のアップロードを支援している
- 我々はGTK 3.20をサポートする作業を行っており、アップストリームのMATEはすでにGTK 3.21/3.22をサポートしている
- MATE 1.14はGTK+3でビルドし動作した
- Ubuntu MATE 16.10 α1はGTK+3及びMATE 1.14で提供する
- 2016/5にGTK+3への移行を支援及び加速するため、€1997(約24万)を7つのオープンソース開発者に寄付した
アイコンサイズが変更できるようになった
MATE 1.14では、パネルメニューアイコン(アプリケーションメニュー/場所/システム)やパネルアイコンのサイズを変更することができ、アイコンがサポートするサイズは、16ピクセルから48ピクセルです。サイズの変更は、「MATE Tweak」から変更できるようになります。
これにより、以下の利点が得られます。
- 高解像度のディスプレイ向けにより大きなアイコンを使用できる
- 識別しにくい小さなアイコンの代わりに大きなアイコンを使用できる
- デスクトップメタファーを変更すること無く、大きなパネルで安定したタッチ入力ができる
課題
- MATEメニューがGTK+3と互換性がない。移植作業を開始し作業を進めている。
- MATEインジケーターアプレットがGTK+3と一部互換性がない。調査を進めている。
- MATEドックアプレットメニューがGTK+3と互換性がない。移植作業はまだ開始していない。
- トップメニューアプレットメニューがGTK+3と互換性がない。移植作業はまだ開始していない。
問題
oepnSUSEパネルレイアウトで使用している「GNOMEメインメニュー」が「GTK+2」でのみ提供されており、メンテナンスされていません。
「GNOMEメインメニュー」の「GTK+3」への移行作業に興味を持つMATEの開発者がいないため、「GNOMEメインメニュー」は「Debian」と「Ubuntu」のアーカイブから削除される予定です。
なぜGTK+3へ移行するのか
GTK+2版MATEが依存しているいくつかの古いライブラリーはメンテナンスされておらず、非推奨になっていたり多くのディストリビューションから削除されています。MATEの開発を継続させるためには、GTK+3への移行が必須になります。
HiDPIのサポート
「MATE 1.14 + GTK+3」により、HiDPI(ディスプレイのサイズは小さいが解像度が非常に大きいディスプレイ)がサポートされます。HiDPIは環境変数の設定及びセッションの再起動により有効になり、一旦設定してしまえば、MATEだけでなくすべてのGTK3アプリケーションがHiDPI環境で高品質な描画を行うようになります。
もしあなたが4Kディスプレイを使用しているなら、HiDPIのサポートは大きな利点になります。
参考
- GTK+3
- MATE 1.14 released
- Ubuntu MATE 16.10 Switches to GTK3, Adopts Snap Packages for the MATE Desktop