Linux Mint月刊ニュース
「Linux Mint」開発チームは、Linux Mint月刊ニュースにて「Linux Mint」の開発状況や取り組みを紹介しています。1. インストール後のディスク使用量削減
「Linux Mint 22」のインストールでは、ローカライズ周りの処理が改善されます。「Linux Mint 22」インストール時に、英語とユーザーがインストーラーで選択した言語以外の言語パッケージが、インストール完了時に削除されます。
これによりインストール後のディスク使用量が大きく削減されます。
ちなみにユーザーが選択した言語に対応した言語パッケージは、インストール時にインターネットに接続されていれば、自動的にダウンロードされインストールされるようになっています。
2. ソフトウェアソースのDeb822サポート
「ソフトウェアソース」では「Deb822」に対応します。「Deb822」は「APT」で使用されるソースリストの新しいフォーマットです。
3. PipeWireへの移行
「PipeWire」はオーディオやビデオを扱うマルチメディアフレームワークです。サウンドサーバーやデスクトップのキャプチャー等にも利用されています。
「Linux Mint 22」ではデフォルトのサウンドサーバーが「PipeWire」に変更されます。
4. PixでJXLのサポート
画像ビューアーの「Pix」では、次期バージョンで「JXL(JPEG XL)」画像フォーマットに対応する予定です。5. Linux kernelの採用方針の変更
「Linux Mint」のベースとなっている「Ubuntu LTS」では、2回目以降のポイントリリースで新バージョンの「Linux kernel」を採用しています。「Ubuntu」ではこの新しい「Linux kernel」のことを、「HWE kernel」と呼んでいます。
「Linux Mint」では長らく初回の「Ubuntu LTS」で採用された「Linux kernel」を継続的に採用してきました。
例えば「Linux Mint 21」シリーズでは、「Ubuntu 22.04 LTS」で採用された「Linux kernel 5.15」を採用しています。
ただそのままだと新しいハードウェアへの対応が困難になるため、「Linux Mint」では「HWE kernel」を採用した「Edge Edition」をリリースしてきました。
「Linux Mint」によるここ2年間の観察では、従来の「LTS kernel」と新しい「HWE kernel」の安定性に大きな違いはありませんでした。
また新しいハードウェアを利用しているユーザーは「Edge Edition」を利用することになりますが、「Edge Edition」の利用者数が増加傾向にあります。
「Linux Mint」ではこの状況を踏まえ「Linux Mint 22」シリーズでは、「Ubuntu」と同様に「HWE kernel」を採用する方針になりました。
6. GIMPに対応したサムネイラー
「XAPP Thumbnailer」では、GIMPファイルのサムネイルを生成する機能が実装されました。7. オンラインアカウントアプリの開発
オンラインアカウントはGoogleなどのアカウントを管理するための仕組みです。ユーザーはオンラインアカウントにGoogle等のアカウントを登録することで、デスクトップやアプリから各種オンラインサービスを利用できるようになります。
さてこのオンラインアカウントの機能は「GNOME」が開発するライブラリーに依存しているのですが、そのライブラリーが「GTK 4」に移行したため、「GTK 3」から利用できなくなりました。
「Cinnamon」や「Budgie」、「Unity」といった「GNOME」以外のデスクトップ環境でも、このライブラリーを利用してオンラインアカウント機能を提供していたため、これらのデスクトップ環境も影響を受けます。
そこで「Linux Mint」では特定のデスクトップ環境に依存しない「GNOME Online Account GTK」を開発することになりました。
8. deb版Thunderbirdの提供
「Linux Mint 22」のベースとなる「Ubuntu 24.04 LTS」では、「Thunderbird」の提供が従来のdeb版からSnap版「Thunderbird」へと移行します。「Linux Mint 22」ではSnap版「Thunderbird」へと移行せず、引き続きdeb版「Thunderbird」を提供します。
9. Jargonautの開発作業
「Jargonaut」はチャットアプリです。「Jargonaut」の開発が進められており、新しいUIレイアウトの導入やトレイアイコン、イメージサムネイルやチャンネルイベントなど、多くの機能が実装されました。
10. 新しいパッケージリポジトリー
「Linux Mint」が提供するパッケージリポジトリーの負荷が高くなっており、この負荷の軽減のためFastlyを活用した新しいパッケージリポジトリーの提供が予定されています。現在ベータテストが行われています。
詳細は以下を参照してください。
11. エディションの利用統計
「Linux Mint」では試験的に各エディションの利用統計を取りました。Cinnamonエディションが半数近くを締めています。
次に多いのが「Xfce」エディションです。
「MATE」エディションやEdgeエディション、「LMDE 6」はシェアが拮抗しています。