Flavor Sync Meeting(2024/3/11)
2024年3月12日、2024年3月11日に開催された「Flavor Sync Meeting」の議事録が公開されました。Flavor Sync Meeting
このミーティングはUbuntuの公式フレーバーのリーダーとCanonicalやコミュニティーのリーダーが集まり、2ヶ月に一度定期的に開催されています。Ubuntuの公式フレーバーはUbuntuの変更に追従していく必要があるため、認識や課題の共有など開発の足並みを揃えるために、このミーティングが開催されています。
いくつかピックアップします。
1. テストのフィードバック共有
以前紹介したようにUbuntuテスト週間が実施されました。このテスト週間はフレーバーも対象であり、テスト週間から得られたフィードバック内容が共有されました。
1-1. 2038年問題の対応
32bitアーキテクチャーで発生する2038年問題では、対応作業の進捗は良好であり、今後詳しい情報が紹介される予定です。この問題の対応でフレーバーは、イメージをビルドし直す必要があります。
1-2. Snapアプリの通知が機能しない問題
「Kubuntu」や「Ubuntu Studio」でSnapアプリの通知が機能しない問題が報告されています。「Firefox」や「Thunderbird」、「Element」アプリで発生しています。
不具合報告は以下を参照してください。
- All Snaps are denied the ability to use DBus for notifications and apptray indicators in KDE-based flavors
- [snap] Thunderbird does not support native notifications on KDE Plasma Desktop
1-3. Xubuntuの新インストーラー対応
新インストーラーに移行した「Xubuntu」で、最小インストールと通常インストールの双方が期待通りに動作しているとのことです。1-4. 新インストーラーのOEMインストール対応
現状新インストーラーはOEMインストールに対応していませんが、現在の開発サイクルでOEMインストールに対応する予定です。1-5. Edubuntu Raspberry Pi向けイメージ
Edubuntu Raspberry Pi向けイメージの動作が確認されました。2. MirとMiriway
前回に引き続き「Mir」と「Miriway」の情報が共有されました。主に最新版の改善点が共有されています。
Miriway
「Miriway」は、MirベースのWaylandコンポジターです。「Wayland」は「X11」を置き換えるディスプレイサーバーであり、多くのデスクトップ環境で「Wayland」への対応や移行の検討がなされています。
Waylandコンポジターには複数の実装があり、例えば「GNOME」では「Mutter」がWaylandコンポジターの役割を担っており、「KDE Plasma」では「KWin」がWaylandコンポジターの役割を担っています。
他にもWaylandコンポジターの実装があるのですが、「Miriway」はその実装の一つになります。
3. その他24.04 LTSのリリースに向けた作業
その他24.04 LTSのリリースに向けた作業や準備内容が共有されました。3-1. Snap版Thunderbirdへの移行
「Ubuntu 24.04 LTS」ではdeb版ThunderbirdからSnap版Thunderbirdへ移行するため、deb版Thunderbirdをプリインストールするづれーバーでは、それに備えた準備が必要になっています。3-2. fwupdaterのアップデート
以下のフレーバーではまだ「fwupdater」がアップデートされておらず、今後「fwupdater」のアップデートが予定されています。- Ubuntu Budgie
- Ubuntu Cinnamon
- Ubuntu Kylin
- Ubuntu MATE
- Ubuntu Studio
- Ubuntu Unity
ちなみに「Ubuntu MATE」では「gnome-firmware」からの切り替えが予定されています。また「Ubuntu Budgie」では本機能がSnap版「budgie-welcome」経由で利用できるようになります。
3-3. gnome-softwareのパッケージ分割
「gnome-software」のdebパッケージをサポート機能が、別パッケージに分離される予定です。「Ubuntu Cinnamon」は「GNOME Software」を同梱しているため、本影響の確認が必要です。
3-4. アクセシビリティーテスト
Red HatでUbuntuやフレーバーを含む多くのLinuxディストリビューションでアクセシビリティーテストが実施され、そのテスト結果が共有されました。いくつかのフレーバーでアクセシビリティーテストにパスしませんでした。
「Lubuntu」では「Orca」を追加しましたが、デスクトップとの連携を実施してくれる貢献者を募集しています。
またディストリビューション間でアクセシビリティーに関連するデフォルト構成やキーバインドなど、足並みを揃えるための情報を共有する提案が出されました。