Xfce 4.20 がリリースされました
2024年12月15日、Xfce 4.20 がリリースされました。1. Wayland 対応
Xfce 4.20 の開発において特に注力したのが Xfce の Wayland 対応です。Wayland は 既存の X11 に代わる新しいディスプレイサーバーであり、今後は Wayland が主流になっていくでしょう。
試験的な対応
現状 Xfce 4.20 の Wayland 対応は、試験的な対応に留まっています。そのため Wayland の利用は上級者向けのオプションであり、日常的に Xfce 4.20 を利用するユーザーは従来どおり X11 で Xfce 4.20 を利用すると良いでしょう。
すべての Xfce コアコンポーネントが Wayland に対応
今回のリリースですべての Xfce コアコンポーネントが Wayland に対応しました。そのため Xwayland なしでXfce コアコンポーネントが動作するようになりました。
もちろん引き続き X11 もサポートされます。
別途 Wayland コンポジターが必要
現状 Xfce では Wayland コンポジターを用意していないため、 Wayland 上で Xfce を利用するには別途 Wayland コンポジターを用意する必要があります。Xfce を Wayland 上で利用したい場合は、以下のいずれかの Wayland コンポジターを利用すると良いでしょう。
- Labwc
- Wayfire
動作状況については、以下を参照してください。
Xfwm4 の Wayland 対応はこれから
Xfwm4 は Xfce で開発されているウィンドウマネージャーです。Xfwm4 の Wayland 対応も進められていますが、対応には大きなコストがかかるため、現状具体的な完了スケジュールはありません。
その他のコンポーネントについて
まだいくつかのコンポーネントでは Wayland に対応していません。これはコンポーネントが提供する機能を実現するのに必要な Wayland プロトコルが存在していないためです。
- ワークスペース機能
- システムトレイに対応したアプリによっては、アイコンがシステムトレイに表示されない
- キーボードとマウス設定を行うXfce ダイアログ
- 電源周りのキーボード処理(明るさの調整キーやサスペンドキーなど)
- スクリーンショット機能の一部
また以下のコンポーネントは、現状 Wayland 上で動作しません。
- Xfwm4
- Xfdashboard
- Xfce4-screensaver
- Xfce4-windowck-plugin
- Xfce4-xkb-plugin
Wayland 対応の方針や進捗について
Wayland 対応の方針や進捗は、以下で確認できます。2. HiDPI のサポート改善
様々なコンポーネントでアイコン及びサムネイルのスケーリングが改善されました。大きなスケーリングに対応したアイコンが追加され、HiDPI 環境で Xfce を利用した時に発生していた不鮮明さが解消されました。
3. Exo
Exo はファイルの種類とアプリの関連付けやデスクトップエントリーファイル(.desktop)を編集する機能を提供するなど、デスクトップ全体で活用されるヘルパーアプリです。アイコンビューのパフォーマンス改善
アイコンビューのパフォーマンス改善され、10万のファイルをフリーズすることなしに扱えるようになりました。タイプアヘッドサーチに対応
アイコンビューでタイプアヘッドサーチに対応し、アイテムの検索が容易になりました。4. ショートカットエディター
キーボードショートカットを設定するショートカットエディターでは、お互いに衝突しないアクションなら複数のアクションでショートカットを設定できるようになりました。5. アバウト画面
Xfce の情報を表示するアバウト画面では、以下の情報が表示されるようになりました。- 使用しているディストリビューションのロゴ
- 使用しているウィンドウシステムの種類
- 使用しているGPUの情報
6. Thunar
Thunar はファイルマネージャーです。マウント機能の改善
- ボリュームのマウントでは、マウントポイントにマウントポイントを示すエンブレムが表示されるようになりました。
- リモートボリュームのマウントでは、IPv6 のリモートURLがサポートされました。
- リモートの場所でも、シンボリックリンクを作成できるようになりました。
検索結果の改善
ファイルの検索中でも、検索結果上のファイルを右クリックし、コンテキストメニューを表示できるようになりました。ツールバーの改善
ツールバーに以下のボタンが追加されました。- ビュースイッチャーボタン:ビューを切り替えるドロップダウンボタン
- メニュー表示ボタン:メニューバーが非表示の時に、メニューの内容を表示するハンバーガーボタンが自動的に表示されるようになりました。
- 新しいタブボタン:現在のディレクトリーで新しいタブを開くボタン
- 新しいウィンドウボタン:現在のディレクトリーで新しいウィンドウを開くボタン
また Thunar のウィンドウサイズを小さくした時に、ツールバーのアイテムがオーバーフローメニューに移動されるようになりました。
これにより Thunar のウィンドウサイズを従来よりも小さくしたまま利用できるようになりました。
CSDのサポート
CSD(Client Side Decoration)に対応しました。オプションで CSD を有効にすることができます。
メニューバーを表示した状態で CSD を有効にすると、以下のウィンドウデザインになります。
メニューバーを非表示した状態で CSD を有効にすると、以下のウィンドウデザインになります。
ステータスバーの改善
ステータスバーに非表示のファイル数を表示するオプションが追加されました。最近使用したファイルの改善
最近使用したファイルに表示されるファイルは、開くのに成功したファイルのみリストに並ぶよう修正されました。シンボリックアイコンの改善
サイドペインでカラーアイコンの代わりにシンボリックアイコンを使用するオプションが追加されました。またツールバーでシンボリックアイコンの代わりにカラーアイコンを使用することも可能です。
ドラッグ&ドロップの改善
- ファイルのドラッグ中に、ホバーしながらマウスカーソルを既存のフォルダー上に持っていくと、そのフォルダーを自動的に開くようになりました。
サブフォルダー内にファイルをドロップしたい時に便利です。 - 同様にファイルのドラッグ中に、ホバーしながらマウスカーソルを分割ビュー上に持っていくと、フォーカスがアップデートされるようになりました。
カスタムアクションの改善
カスタムアクションに割り当てられたショートカットキーは、カスタムアクションがサブメニュー内に配置されていても機能するようになりました。ファイル上書き確認画面の改善
ファイル上書き確認画面ではUIデザインが見直され、ボタンの数を減らしつつも従来と同様の機能を提供するようになりました。またファイルのサムネイルも適切に表示されるようになりました。
パフォーマンスの改善
- 大量のファイル操作時のパフォーマンスが改善され、従来発生していたフリーズする現象が解消されました。
- ファイルコピー時のパフォーマンスが向上しました。
ランチャー機能の改善
デスクトップエントリーファイルを表示する時に、使用できるランチャーのみファイル名の代わりにデスクトップエントリーファイルに指定されたランチャー名を表示するようになりました。アンドゥ/リドゥの改善
アンドゥ実行時にファイルが削除される場合は、事前にユーザーにファイルの削除確認を行うようになりました。フォルダーの展開機能
ファイルの一覧画面でサブフォルダーを展開して表示できるようになりました。分割ビューの改善
アクティブな分割ビューを切り替えるショートカットキーを利用できるようになりました。また現在アクティブなペインを異なるカラーリングで表示するようになり、フォーカスのあたっている分割ビューのペインを区別しやすくなりました。
加えて複数のタブを開いている時に分割ビューを閉じる際、その分割ビューを閉じても良いか確認画面が表示されるようになりました。
7. アプリケーションファインダー
アプリケーションファインダーは、インストール済みのアプリを検索し、アプリを起動するアプリです。ショートカットキーの改善
- アプリケーションの一覧では、Ctrl + N キーや Ctrl + P キーでアプリケーションの一覧をナビゲーションできるようになりました。
- ドロップダウンからアプリを選択して Ctrl + Enter キーを押した時に、即座に実行できるようになりました。
自動的に閉じる機能の追加
アプリケーションファインダーからフォーカスが外れた時に、自動的にアプリケーションファインダーを閉じるオプションが追加されました。アプリ固有のアクションに対応
アプリによってはアプリ固有のアクションを提供しています。アプリを右クリックした時に表示されるコンテキストメニューから、アプリ固有のアクションを実行できるようになりました。
アプリ名の表示方法を変更するオプションの追加
アプリケーション一覧でアプリの名称を、アプリのランチャーの一般名で表示するオプションが追加されました。常駐可能に
アプリケーションファインダーを常駐するオプションが追加されました。アプリケーションファインダーを常駐させれば、アプリケーションファインダーを即座に開けるようになります。
シングルクリックでアプリの起動が可能に
シングルクリックでアプリを起動可能にするオプションが追加されました。8. パネル
パネルは Xfce デスクトップ上に配置するパネルのことです。ここではそのパネル上に配置する各種アイテムも含みます。
パネルの改善
パネルの境界幅を調整できるようになりました。時計の改善
- LCD 時計では、非アクティブなセグメントを視覚的に表示するオプションが追加されました。
- アナログ時計では、24時間表記のオプションが追加されました。
- デジタル時計では、週番号を表示するオプションが追加されました。
デスクトップ表示の改善
デスクトップ表示では、デスクトップ表示のパネルアイコン上にマウスカーソルを置いた時に、デスクトップを表示できるようになりました。タスクリストの改善
アイコンのサイズ調整機能が改良されました。パネルの設定画面の改善
- Delete キーでパネルアイテムを削除できるようになりました。これにより複数のアイテムを一度に削除することも可能です。
- パネルアイテムのアイコンが、実際にパネルに配置された時と同じアイコンで表示されるようになりました。
9. 電源管理
電源管理では、PCの省電力設定やスリープ等の設定を行います。スクリーンロッカーの改善
画面のロック設定を行うスクリーンロッカーでは、セキュリティーのタブが削除されUIが簡素になりました。これにより Light Locker も削除され、画面のロック設定が分かりやすくなりました。
またスリープ時の画面ロック機能に関しては、xfce4-session や xfce4-screensaver と同期して動作するようになりました。
加えてxfce4-screensaver の設定画面を開くボタンが追加されました。
競合の回避
スクリーンロックの設定は競合を避けるため、xfce4-screensaver によって処理されるようになりました。その他電力設定の変更
- 電力設定では、複数の電力プロファイルを扱えるようになりました。
- ユーザーにとって重要な電力関連のポップアップダイアログが表示された時に、意図せずユーザーが誤操作しないようにUIが改良されました。
- ハイブリッドスリープモードがサポートされました。
- デバイスの詳細タブ画面に電力の使用率が表示されるようになりました。
- ノートPCのモニターを閉じた時に、シャットダウンするか何もしないオプションが追加されました。
- モニターの明るさを大きく偏向するボタンがサポートされ、キーボードのバックライト切り替えキーもサポートされました。
10. セッション
セッションはログインしているユーザーを管理する仕組みです。ログアウト画面の機能変更
ログアウト画面では、セッションを保存するチェックボックスが削除されました。Wayland セッションの利用
startxfce4 --wayland で Wayland セッションを利用できるようになりました。11. デスクトップの設定
Xfce デスクトップをカスタマイズする設定機能です。アイコンテーマの処理改善
アイコンテーマの読み込みが高速化されました。また不完全なアイコンテーマ選択時に、渓谷が表示されるようになりました。
CSD の設定変更
CSD(Client Side Decoration) の設定項目は、従来はオプトアウト設定でしたが、これがオプトイン設定に変更されました。ダークテーマのサポート改善
ダークテーマのサポートが改善され、ダークテーマの区別やサポートが改善されています。ディスプレイ設定の改善
- プロファイルの一覧に、条件に該当するデフォルトのディスプレイプロファイルが追加されました。
複数のプロファイル条件に該当する時に使用されるプロファイルです。 - プロファイル管理ではすべてのプロファイルが対象となり、プロファイル名を変更できるようになりました。
- スケーリングの設定では、画面の縦横に対して常に設定が適用され、変更後のサイズがプレビュー表示されるようになりました。
- モニターのミラーリング機能が改善され、リフレッシュレートを一致させる必要がなくなりました。
- マルチモニター時の設定画面が改善され、モニターの拡張設定で右側以外の設定を行えるようになりました。
12. マウスの設定
マウスの設定画面です。カーソルの移動量設定の改善
マウスを動かし続けた時にカーソルの移動量を調整するチェックボックスが追加されました。この設定項目はアダプティブとフラットな移動量を切り替える設定です。
高解像度スクロール設定の追加
高解像度に対応したマウスで、高解像度スクロールを行うチェックボックスが追加されました。13. MIME 設定
MIME 設定はファイルの種類を区別したり、ファイルの種類とアプリケーションを関連付ける設定です。複数アイテムの選択が可能に
複数の MIME 設定を選択し、設定を変更できるようになりました。14. デスクトップ設定
Xfce デスクトップの設定です。壁紙の改善
- ランダムに壁紙を切り替えて設定する機能では、ランダムに表示するすべての壁紙が一巡した後に、再度一からランダムに壁紙が選択されるようになりました。
- 以前 PNG 形式で提供されていた古い Xfce の壁紙は、高解像度のディスプレイでも利用できるように、SVG 形式に作り直されました。
- 設定画面外で壁紙が変更された時に、その壁紙を設定画面に反映するようになりました。
- 壁紙一覧では壁紙の読み込み速度が高速化されました。
デスクトップアイコンの改善
- デスクトップアイコンの配置を整列する時に表示されていた確認画面を表示しないオプションが追加されました。
- アイコンのラベルと背景色にユーザーが任意の色を指定できるようになりました。
- マルチモニター使用時、それぞれのデスクトップごとに異なる配置設定を適用できるようになりました。
ファイルアイコン
- ファイルより前にフォルダーを並び替えて配置する機能がオプションに追加されました。
- モニターの追加や削除時、アイコンの配置位置が適切な位置に配置されるようになりました。
- 新規ファイル作成時及び既存のファイルをデスクトップ上にドロップした際、現在のカーソル位置の近くにアイコンが配置されるようになりました。
- 固定ディスクや固定ドライブのアイコンを表示するオプションが追加されました。