タグの管理を行う
「git tag」コマンドは、タグの管理を行うコマンドです。「git tag」コマンドの機能を大別すると、以下のようになります。
- タグを作成する
- タグを削除する
- タグの一覧を表示する
- タグの署名を検証する
タグを作成するコマンドの説明
タグを作成するコマンドの説明です。コマンドのフォーマットは、以下のようになります。
git tag <オプション> <タグ名> <タグの参照先オブジェクト>
タグの種類に関するオプション
タグの種類に関するオプションです。タグには、「軽量タグ(Lightweight Tag)」タグと「注釈付きのタグ(Annotated Tag)」タグがあります。
加えて、「注釈付きのタグ」には、GPGによる署名を付けることができます。
どのようなタグを作成するのかを、指定するオプションです。
オプションの指定なし
オプションの指定を行わなかった場合、「軽量タグ」を作成します。「軽量タグ」の作成は、「軽量タグを作成する」を参考にしてください。
注釈付きタグの作成(-a, --annotate)
「注釈付きのタグ」を作成します。ただし、GPGによる署名は行いません。
このオプションの使用例は、「注釈付きタグを作成する」を参考にしてください。
署名付きの注釈付きタグを作成(-s, --sign)
「注釈付きのタグ」を作成します。GPGによる署名を行います。
署名に使用する秘密鍵は、「Git」の設定から自動的に特定されます。
このオプションの使用例は、「PGP署名付きの注釈付きタグを作成する」を参考にしてください。
署名用のPGP鍵を指定して、署名付きの注釈付きタグを作成(-u, --local-user)
「注釈付きのタグ」を作成します。GPGによる署名を行います。
署名に使用する秘密鍵は、ユーザーが指定します。
このオプションの使用例は、「署名に使用するPGP鍵を指定して、PGP署名付きの注釈付きタグを作成する」を参考にしてください。
タグメッセージに関するオプション
「タグメッセージ」に関するオプションです。いずれのオプションも省略できますが、指定できるオプションはいずれかのオプションだけです。
タグメッセージとは
「タグメッセージ」とは、タグの説明のことです。タグの概要や内容をユーザーが指定します。
後で作成したタグから「タグメッセージ」を表示することができます。
注釈付きのタグでのみ利用可能
「タグメッセージ」は、「注釈付きのタグ」でのみ利用できます。「タグの種類に関するオプション」で「注釈付きのタグ」の作成を指定せず、「タグメッセージに関するオプション」を指定した場合は、暗黙のうちに「注釈付きタグの作成(-a, --annotate)」オプションが指定されます。
オプションの指定なし
「タグの種類に関するオプション」で「注釈付きのタグ」の作成を指定し、「タグメッセージに関するオプション」を指定しなかった場合は、テキストエディターが起動します。ユーザーは、テキストエディターで「タグメッセージ」を入力します。
タグメッセージの指定(-m, --message)
タグメッセージを指定します。このオプションの使用例は、「タグメッセージを指定して、注釈付きタグを作成する」を参考にしてください。
タグメッセージを記述したテキストファイルを指定(-F, --file)
タグメッセージを記述したテキストファイルを指定します。このオプションの使用例は、「タグメッセージを記述したファイルを指定して、注釈付きタグを作成する」を参考にしてください。
タグメッセージの処理に関するオプション
「タグメッセージ」の処理に関するオプションです。空白文字やコメント行の処理方法の指定(--cleanup)
「タグメッセージ」の行末の空白文字を削除するかどうか、コメント行を削除するかどうかを指定するオプションです。このオプションの使用例は、「空白文字やコメント行の処理方法を指定して、注釈付きタグを作成する」を参考にしてください。
タグの作成に関するオプション
タグの作成に関するオプションです。いずれのオプションも省略できます。
タグを上書きする(-f, --force)
デフォルトでは、すでに存在する同名のタグを作成することはできません。このオプションを指定すると、同名のタグを上書きして、新規にタグを作成します。
このオプションの使用例は、「既存のタグを上書きして、タグを作成する」を参考にしてください。
タグ名
タグの名称を指定します。ソフトウェアのバージョンやリリースステージなど、区切りを表す名称がよく利用されます。
タグの識別子になる
タグの名称は、各タグを一意に識別する識別子になります。タグの参照先オブジェクト
タグのが指す「Gitオブジェクト」を指定します。「コミットオブジェクト」を指定するケースが多いでしょう。
「Gitオブジェクト」を指す参照で指定することもでき、 以下の指定方法が利用できます。
- ブランチ名
- タグ名
- コミットオブジェクトの識別子
- HEAD
1.ブランチ名
ブランチヘッドが指す「コミットオブジェクト」を指定します。2.タグ名
タグが指す「Gitオブジェクト」を指定します。3.Gitオブジェクトの識別子
直接「Gitオブジェクト」の識別子を指定します。Gitオブジェクトの識別子は、4文字以上の識別子を入力します。
4.HEAD
「HEAD」が指す「コミットオブジェクト」を指定します。「タグの参照先オブジェクト」の指定を省略した時は、「HEAD」が指定された時と同じ動作を行います。