Ubuntu Studio 24.10 の新機能と変更点
リリースノートから Ubuntu Studio 24.10 の新機能と変更点を紹介します。Ubuntu Studio のリリース情報
Ubuntu Studio 24.10 のリリース情報です。- 公式サイト:Ubuntu Studio
- リリースアナウンス:Ubuntu Studio 24.10 Released
- リリースノート:ReleaseNotes
Ubuntu Studioの特徴
Ubuntu Studio は動画制作や音楽制作、ライブ配信などクリエイター向けの環境を提供するUbuntu の公式フレーバーです。デスクトップ環境に KDE Plasma を採用しており、Kubuntu 上にクリエイター向けの環境を構築したOSと思えば分かりやすいでしょう。
他の公式フレーバーのほとんどはデスクトップ環境に着目したOSですが、Ubuntu Studio はクリエイターの作業や環境に着目したOSです。
公式フレーバー
公式フレーバーは Ubuntu と開発プロセスやリソース、インフラを共有しているUbuntuベースの Linux ディストリビューションであり、Ubuntu ファミリーの一員です。Ubuntu と密接に連携して開発されていますが、公式フレーバーごとにプロジェクトやコミュニティー、そして公式サイトが存在します。
Ubuntu と共通する新機能や変更点、Ubuntu Studio のディスクイメージのダウンロードは、下記の Ubuntu のリリース情報を参照してください。
Ubuntu のリリース情報
Ubuntu 24.10 のリリース情報は、以下を参照してください。Ubuntu Studio 24.10 のディスクイメージも以下からダウンロード可能です。
Ubuntu 24.10 のリリースノートは、以下を参照してください。
- リリースノート:ReleaseNotes
- リリースノート(日本語):リリースノート
その他 Ubuntu 24.10 の新機能と変更点は、以下を参照してください。
- Ubuntu 24.10 の新機能と変更点・既知の問題
- Ubuntu 24.10 登場・Ubuntu 24.10 の注目機能
- Ubuntu 誕生20周年・記念アートワーク
- APT の新機能と改善点・パッケージの操作内容が分かりやすく
サポート期間
Ubuntu Studio 24.10 は通常リリースであり、9ヶ月の標準(無償)サポート期間が提供されます。Ubuntu Studio 24.10 は2024年10月にリリースされたため、2025年7月までサポートされます。
以前のバージョンからアップグレード可能
以下のバージョンから、直接 Ubuntu Studio 24.10 へアップグレード可能です。- Ubuntu Studio 24.04 LTS
アップグレード方法については、以下を参照してください。
- アップグレード方法:Upgrading to Ubuntu Studio 24.10
最小インストールに対応
インストーラーが最小インストールに対応しました。ユーザー好みの環境を構築しやすくなる
最小インストールではプリインストールされるアプリが最小限に抑えられ、ユーザーは自分の好みに応じて後から必要なアプリケーションセットをインストールできます。Ubuntu Studio Installer
ユーザーは Ubuntu Studio インストール後に、Ubuntu Studio Installer を利用し用途に合わせアプリケーションセットを簡単にインストールすることもできます。インストール時間短縮にもつながる
プリインストールされるアプリが最小限に抑えられるため、Ubuntu Studio のインストールにかかる時間を節約することもできます。ランチャーにデフォルトのアプリが配置される
最小インストールでインストールした場合、パネルにインストールされていないデフォルトのアプリケーションのランチャーが残ったままになります。この問題は Ubuntu Studio 25.04 で解消される見込みです。
ユーザーは Ubuntu Studio インストール後に、それらのランチャーを削除しておくと良いでしょう。
Generic kernel の採用
Ubuntu Studio 24.10 では Ubuntu と同様に Generic kernel を採用しました。低遅延機能が統合された
Ubuntu Studio は動画編集や DTM などオーサリングに最適化した OS としてリリースされています。そのため今まで Ubuntu Studio では、低遅延カーネルを採用してきました。
しかし以前紹介したように Ubuntu 24.04 LTS の Generic kernel に、低遅延カーネルの機能が統合されました。
これを受け Ubuntu Studio でも Ubuntu と同様に Generic kernel を採用することになりました。
低遅延設定の指定
デフォルトで Linux kernel の低遅延設定が有効になっています。この低遅延設定は、Ubuntu Studio Audio Configuration から変更することもできます。
ユーザーのワークロードに合わせ設定を調整するのも良いでしょう。
ちなみにパフォーマンスよりも省電力を重視する場合は、3つのオプションすべてを無効にすると良いでしょう。
KDE Plasma 6 の採用
Ubuntu Studio 24.10 はデスクトップ環境に KDE Plasma 6 を採用しました。メジャーバージョンアップ
以前のバージョンでは KDE Plasma 5 を採用しており、今回 KDE Plasma がメジャーバージョンアップしたことになります。デフォルト設定やテーマの調整は今後に
メジャーバージョンアップでは多数のソフトウェアが影響を受けます。KDE Plasma 6 に移行したことでデフォルト設定やテーマなど、KDE Plasma 6 に関連する問題が発生する可能性があります。
Orchis テーマの採用
Ubuntu Studio 24.10 ではデフォルトのテーマに Orchis テーマを採用しました。Materia テーマから Orchis テーマへ
Ubuntu Studio は Ubuntu Studio 22.04 LTS を除き、Ubuntu Studio 19.04 から 長い間 Materia テーマを採用してきました。ちなみに Ubuntu Studio 22.04 LTS では、Breeze テーマの配色を変更したテーマを採用していました。
Materia テーマはすでに開発されておらず、代わりに Materia テーマから派生した Orchis テーマを採用することになりました。
Orchis テーマは外観が Materia テーマと似ているテーマです。
鮮やかでモダンなデザイン
今回 Orchis テーマの導入により、鮮やかでモダンなデザインになりました。現状以下の不具合がありますが、ウィンドウの装飾を他のバリエーションに変更することで解消できます。
PipeWire 1.2.4
デフォルトのサウンドサーバーに PipeWire 1.2.4 を採用しました。FFADO と FireWire
FFADO を要求する FireWire デバイスがサポートされました。ただし Ubuntu Studio 開発チームは該当する FireWire デバイスを有していないため、テストは行えていません。
PipeWire と JACK の互換性
PipeWire の JACK 互換設定はすでにセットアップ済みであり、すぐに利用できるようになっています。また内部的に遅延が発生しないようになっています。
システムの遅延は Ubuntu Studio Audio Configuration から設定可能です。
JACK 2 を直に使いたい場合は
JACK 2 を直に使いたい場合は、Ubuntu Studio Audio Configuration から PipeWire の JACK 互換機能の有効・無効を切り替えられます。その後 QJackCtl 経由で JACK を利用することができます。
PulseAudio/JACK のセットアップの廃止
PulseAudio/JACK のセットアップは廃止になりました。言い換えると Studio Controls から JACK の起動や停止、 PulseAudio へのブリッジといったセットアップは廃止になりました。
これらの設定は Ubuntu Studio Audio Configuration 経由でも設定できなくなりました。
Studio Controls は削除
Studio Controls は、PipeWire の設定をカスタマイズするツールとしていつの日か復活する可能性もありますが、現時点で開発者によるサポートはありません。Ardour 8.6
Ardour は DAW(Digital Audio Workstation)ソフトです。Ardour 8.6 を利用できるようになっています。
最新版が欲しいユーザーは
最新版が欲しいユーザーは、以下から購入されることをおすすめします。Ubuntu Studio Audio Configuration
Ubuntu Studio Audio Configuration は Ubuntu Studio のオーディオ周りのセットアップを行うアプリです。Dummy Audio Input のサポート
前回紹介した Dummy Audio Device のサポートに加え、Dummy Audio Input もサポートされました。低遅延の設定機能
上記で紹介したとおり、Linux kernel の低遅延設定を変更する機能に対応しました。既知の問題
既知の問題です。1. インストール時に画面がロックされる
インストール時にスクリーンロックが動作しないように設定されていたはずですが、実際には15分後にスクリーンがロックされます。ライブセッションが起動したら Alt + Space キーを押して Krunner を起動し、System Settings を入力して設定アプリを起動してください。
設定アプリが起動したら Screen Locking を検索し、Lock automatically after 設定を無効化してください。
もしくはインストール中に画面がロックされないように、マウスを動かすなど何かしら操作してください。
2. 初ログイン時にオーディオ設定のために再起動が必要
初回ログイン時に適切なオーディオ設定を反映するために、PC の再起動が必要になります。これはオーディオアプリが適切に動作するために必要な回避策です。